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『動揺』(SIDE 泰莉)
しおりを挟む「マッサージしてあげようか?」
雫さんの言葉に、自分が思い切り動揺したのがわかって引いた。
変な意味合いじゃないことは当たり前すぎて戸惑う自分がバカに思えるけれど、俺は恥ずかしいほどに動揺している。
向かい側に座っている巧さんが信じられないという顔をしていたので、やんわり断って風呂場に直行した。
この屋敷は、各々の部屋にそれぞれ風呂とトイレがついた作りになっている。
部屋に戻ると荷物を乱暴に床に投げ捨て、雫さんの言葉を反芻した。
(普通にああいうこと言うから怖いよなぁ、あの人は・・・・)
バスタブに溜まっていくお湯を見つめながら、胸がザワザワとうるさい。
(あの細い体でマッサージとか・・・ってか、巧さんの前で言うことじゃねぇよな・・)
巧さんを意識している自分に気がついて驚いた。
(いやいやいや、雫さんはただ同居人として気遣ってくれただけなのに、あんな顔するか?上手く言ってねぇのかよあの二人・・?)
思考が乱れてまとまらない。
俺は欲求不満なのだから、仕方ないと言い聞かせる。
恋人の弥弦さんは仕事が忙しくて、最近全然構ってもらえていない。
「あ?泰莉、お前風呂入んの?」
「え!なに弥弦さん、何でいんの?!」
人の気配に驚いて振り返ると、ノックもせず俺の部屋に無断で入り込んだ弥弦さんが、バスルームを覗き込んでいた。
「何でってお前ね・・俺の留守電に、会いたい・・・すげー会いたい・・・とかって熱烈なメッセージ残したくせに、それはなくね?」
昨夜たまらなく寂しくて弥弦さんに電話したことを、思い出す。
「あ~、、昨日すげぇ疲れてて、すんません。」
今更恥ずかしくなる。
いつも俺の感情はスルーで気にも留めてくれない恋人が、それを真に受けて帰って来てくれるなんて夢にも思っていなかった。
「へぇ~、お前可愛いとこあるじゃん。俺に抱いて欲しくてたまらなかったとか?」
ドン、とバスルームの壁に身体を押し付けられて、一気にスイッチが入る。
「弥弦さん・・っ・・・欲しい・・・ッ」
舌が深く入り込んできて、乱暴な手つきで身体を弄られる感覚に、俺は激しく欲情していた。
「お望み通り抱いてやるよ。泣いてもやめてやんねえからな。」
久々の抱擁とは思えないほど攻撃的な視線を投げつける恋人に、俺は自ら身体を差し出す。
Tシャツを脱ぎ捨てて跪き、弥弦さんのベルトを外した。
慌てすぎて震える手が、もどかしい。
「何、しゃぶってくれんの?歯立てんなよ。」
大きく膨らんだ彼の欲望を、口一杯に頬張り、夢中でしゃぶる。
「エロ・・っ・・そんなにコレが欲しかったのか?」
いつもは俺を無視して軽んじてばかりの弥弦さんが、時々ひどく優しい。
それがただの気まぐれなのだとしても、そういう瞬間があるから俺はこの人から離れられないのだ。
たまらなく寂しい夜も、乗り越えられる。
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