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『プロポーズ』

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志方しかたさん・・・・私と結婚してくれませんか?」

「・・・・それは無理だな。」

一世一代のプロポーズは、いとも簡単に断られてしまった。

「え・・・・」

脈アリだと思ってたのに!!と勘違い女全開の言葉を思い浮かべ、目を閉じる。

(恥ずかしすぎる・・・!!志方さんって私のこと好きなんじゃないの・・・?!)

イケメン夫たちに愛されているからといって、私の女としての価値は全く上がっていない。
元々可愛いわけでもなく取り柄も何も無い私が、これほどのイケメン男性に釣り合うはずがないのだ。

「アンタは煌大こうだいの嫁だろ。あいつが嫌がる。」

「え・・・?理由はそこですか?」

(やった!私のことが嫌いなわけじゃないなら、まだ可能性あるかも・・・・♡)

図々しい性格は、昔から変わっていない。

「アンタが煌大の嫁じゃなきゃ・・とっくに手出してるよ。」

「え・・・・?」

「俺はアンタのことが好きなんだ。・・・知ってただろ?」

夫ではない男性に愛を告白されて、舞い上がってしまう。
普通は結婚前にこういうやり取りがあるものなのだろうと、憧れていた。

あいや、りつさんも良い人だし、アンタに手出すなんてさすがに出来ねぇと思って耐えてたが・・・・そろそろ限界だった。だけど俺は・・・煌大とこれ以上揉めたくねぇんだ。」

「それが・・・実は煌大くんからOKもらってるんです・・・」

「え・・・?」

私は人妻だ。何をするにも夫の許可を取ることに決めている。
ましてやプロポーズなんて大それたことは、相談しないわけにいかなかった。

「志方さんが私のことを好きになってくれて、私も志方さんの人柄に惹かれたから、うちの家族に加わってもらいたいって・・・みんなに正直に話しました。あ・・勝手に勘違いして暴走してたらごめんなさい・・!」

慶斗けいとに代償は支払ったが、結局みんなに正直に伝えることにした。
家族に隠し事はしたくないと、心から思えたからだ。

「勘違いじゃねぇよ・・俺はアンタに惚れてるんだ。」

「みんな賛成してくれたんです。私が好きになった男性ならって、認めてくれて・・・」

「本当に・・良い旦那ばかりなんだな。」

「志方さん・・・・私と、結婚・・」

「ダメだ。俺から言わせてくれ。」

彼の長い指が、私の唇を塞ぐ。
真剣な顔で見つめられて、一気に緊張が高まった。

「繭。俺と結婚して欲しい。俺は繭の・・家族になりたい。」

「・・・・はい。」

初めて経験する「結婚前」のプロポーズ。

夫たちの協力のもと、私は無事人生初のプロポーズを成功させた。
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