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『婚外恋愛』
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「繭、あの絵描きのこと・・好きになってない?」
「え・・?」
愛は鋭い。責める口調ではなく、友人を揶揄うような優しい声色で苦笑する。
アトリエに迎えに来てくれた彼は、ちょっとドライブしようか、と車を発進させた。
何でも話せる女友達のような立ち位置を演じてくれる彼に、感謝しかない。
「すごく・・・気になってる・・・彼のこと。」
誰に言いにくいことも、愛には素直に話せた。
彼とは離婚の危機を経て、より深い絆で結ばれている実感がある。
彼のお腹に宿っている子どもは、私たちの絆をさらに強くした。
「モデルになるって話・・俺も賛成して後押ししたから、責任感じてる。」
「私が悪いの!ダメだって思えば思うほど・・・彼のことが気になって仕方なくて。」
「あれは確かに良い男だよね。なんか雰囲気あるし男気もあって、同性の俺から見ても魅力あるってのはわかる。」
「煌大君に怒られちゃうよね。幼馴染で、因縁の仲みたいだし・・・」
「まだあいつと、ヤってないよね?」
愛の物言いはいつも単刀直入で、露骨だった。
志方と一線は超えていないのに、散々妄想していたせいかギクリと罪悪感が刺激される。
「もちろん、そんなことしてないよ。」
「不倫はダメだよ。他の奴らも傷つくし、俺も絶対許せない。」
「わかってます・・・そんなことは絶対しないから、安心して。」
志方と二人で会うことを、辞めなければならない。
このままでは感情が暴走して、いつ彼と一線超えてしまうかわからなかった。
「ねぇ、繭が本気なら・・プロポーズしちゃえば?」
「プロポーズ?」
「あ~でもそんなことしたら、煌大が騒ぐか。」
愛はうーんと唸りながら、考え込んでいる。
「この制度はさ、リストに無い男でも繭が好きになったらプロポーズで夫にできるんだよ。」
「え?嘘・・・・そんなことできるの・・?」
「そう。うちの姉貴がそうだから。リストにない幼馴染の男とも結婚してる。」
「知らなかった・・・」
志方と結婚できる可能性なんて、考えたこともなかった。
「繭がプロポーズしたらみんな嫉妬するだろうけど、駆け落ちとか、不倫よりはマシでしょ。」
「駆け落ちなんてしないよ!!」
志方が好きとはいえ、家族を捨てて駆け落ちなんてそんな選択肢は絶対にない。
「慶斗さんに聞いてみるから、もう少し待って。っていうか、相手も繭のこと好きなんだよね?繭の片想いだったら、プロポーズしても振られちゃうかもよ?」
揶揄うようにそう口にした彼が可愛くてキュンとなった。
私が逆の立場なら、こんなこと絶対に提案できない。
「愛ちゃん、ありがと・・・」
彼の優しさに、涙が出る。
「泣くほど好きだったの?繭ってほんと泣き虫だよね。」
ぽんぽん、と頭を撫でる彼に、涙が止まらない。
「そうじゃなくて、愛ちゃんが優しすぎるから・・・っ」
「俺が繭のことどれくらい愛してるか、わかるでしょ。」
ニコッと笑った彼の顔は、見返りを求めない深い愛情に溢れていた。
「え・・?」
愛は鋭い。責める口調ではなく、友人を揶揄うような優しい声色で苦笑する。
アトリエに迎えに来てくれた彼は、ちょっとドライブしようか、と車を発進させた。
何でも話せる女友達のような立ち位置を演じてくれる彼に、感謝しかない。
「すごく・・・気になってる・・・彼のこと。」
誰に言いにくいことも、愛には素直に話せた。
彼とは離婚の危機を経て、より深い絆で結ばれている実感がある。
彼のお腹に宿っている子どもは、私たちの絆をさらに強くした。
「モデルになるって話・・俺も賛成して後押ししたから、責任感じてる。」
「私が悪いの!ダメだって思えば思うほど・・・彼のことが気になって仕方なくて。」
「あれは確かに良い男だよね。なんか雰囲気あるし男気もあって、同性の俺から見ても魅力あるってのはわかる。」
「煌大君に怒られちゃうよね。幼馴染で、因縁の仲みたいだし・・・」
「まだあいつと、ヤってないよね?」
愛の物言いはいつも単刀直入で、露骨だった。
志方と一線は超えていないのに、散々妄想していたせいかギクリと罪悪感が刺激される。
「もちろん、そんなことしてないよ。」
「不倫はダメだよ。他の奴らも傷つくし、俺も絶対許せない。」
「わかってます・・・そんなことは絶対しないから、安心して。」
志方と二人で会うことを、辞めなければならない。
このままでは感情が暴走して、いつ彼と一線超えてしまうかわからなかった。
「ねぇ、繭が本気なら・・プロポーズしちゃえば?」
「プロポーズ?」
「あ~でもそんなことしたら、煌大が騒ぐか。」
愛はうーんと唸りながら、考え込んでいる。
「この制度はさ、リストに無い男でも繭が好きになったらプロポーズで夫にできるんだよ。」
「え?嘘・・・・そんなことできるの・・?」
「そう。うちの姉貴がそうだから。リストにない幼馴染の男とも結婚してる。」
「知らなかった・・・」
志方と結婚できる可能性なんて、考えたこともなかった。
「繭がプロポーズしたらみんな嫉妬するだろうけど、駆け落ちとか、不倫よりはマシでしょ。」
「駆け落ちなんてしないよ!!」
志方が好きとはいえ、家族を捨てて駆け落ちなんてそんな選択肢は絶対にない。
「慶斗さんに聞いてみるから、もう少し待って。っていうか、相手も繭のこと好きなんだよね?繭の片想いだったら、プロポーズしても振られちゃうかもよ?」
揶揄うようにそう口にした彼が可愛くてキュンとなった。
私が逆の立場なら、こんなこと絶対に提案できない。
「愛ちゃん、ありがと・・・」
彼の優しさに、涙が出る。
「泣くほど好きだったの?繭ってほんと泣き虫だよね。」
ぽんぽん、と頭を撫でる彼に、涙が止まらない。
「そうじゃなくて、愛ちゃんが優しすぎるから・・・っ」
「俺が繭のことどれくらい愛してるか、わかるでしょ。」
ニコッと笑った彼の顔は、見返りを求めない深い愛情に溢れていた。
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