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『愛の妊娠』
しおりを挟む「繭・・・煌大・・・俺、妊娠したかも・・・」
久々に3人で過ごす夜。
それぞれ入浴を済ませ愛の部屋に集合すると、ソファーに座っていた彼が神妙な面持ちでそう呟いた。
「え?妊娠・・・!?本当か・・?!愛・・・すごいぞ、よくやった・・!!」
煌大がテンションマックスで愛の両肩をがっしり掴み、揺さぶる。
「お前は昭和の親父か。やめろ、バカ。」
バシッと頭を叩かれて、煌大は何でだよ・・・とぶつぶつ言いながら床に正座した。
俳優さながらのイケメン夫、煌大をここまでぞんざいに扱えるのは、愛だけだろう。
「妊娠って・・・愛ちゃん、体調が悪いの?」
「そう。ここ数日ムカムカして気持ち悪くて、胃の調子悪いのかなって思ってたんだけど・・・多分これ悪阻だと思う。」
「マジかよ・・・愛・・・俺、すげぇ嬉しい・・・」
「うわ、ああもう泣くなよ煌大。まだ決まったわけじゃないんだから。明日病院行ってみる。」
「俺も!!俺も一緒に行くからな・・・!!」
「うるさっ、お前いちいち声でかい!!」
スパン!と頭を叩かれながらも、煌大は涙目で感動している。
妊娠出来ない身体だから離婚すると告げたあの日の愛を思い出して、私もジンと来てしまった。
「え、ちょっと何、繭まで何泣いてんの?まだ決まったわけじゃないから・・!」
「ごめん・・・嬉しくて、なんか泣けてきちゃった・・・・」
「もう、繭も煌大も気早すぎ・・・。明日みんなで病院行こ。」
文句を言いながら俯いた愛の目もやっぱり赤くて、私たちは3人で身を寄せ合って涙目のまま眠りについた。
♢♢♢
「妊娠おめでとうございます。」
「よっしゃ!!!愛!繭!!やったな!!」
「ちょっと、煌大、騒ぐなって。」
「俺らの子どもかぁ・・・信じられないくらい可愛いんだろうなぁ・・・ベビー服とか買いに行こうぜ!!」
「いや、だから気が早いっつうの。バカ?」
昨夜のしんみり感はどこへやら。
私の夫たちは病院の診察室の中で、いかにも彼ららしい騒動を繰り広げている。
「煌大君、ベイビーズの服買うの好きだもんね。」
子ども服を買いに行く時はいつも、煌大と桜雅が一緒に来てくれる。
我が家のベイビーファッション担当と言っても過言ではない。
「帰りに店寄って見て行こうぜ。」
「だから早いって。まだ男の子か女の子かもわかんないのに。」
テンションが高い二人の会話を聞いていて、私は最高に幸せな気持ちになる。
「絶対元気な子ども産んで見せるから、二人とも楽しみにしててよ。」
愛の頼もしい一言に、私たちは最高の笑顔で頷き合った。
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