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『立ち会い出産』
しおりを挟む代理出産を控えている譲の定期検診に、慶斗と共に同行した。
譲のお腹は、服の上からもはっきりとわかるほど膨らんでいる。
「男の子ですね。」
医師の言葉に、私たちは視線を合わせて微笑み合う。
「男の子だって。これで事前に名前が考えられるね。」
「お腹の中ですごく元気に動き回ってるので、男の子かなと思ってました。」
譲の言葉に、慶斗は嬉しそうに微笑み返す。
子どもが出来てから、2人は以前よりもっと仲良くなったみたいだ。
「男の子は母親に似るって言うよね。繭に似るなら、俺は嬉しいよ。」
私の顔に似るより、絶対にイケメンの慶斗さんに似た方がいい。
心の中でそう思ったけれど、あえて口に出すのはやめにした。
♢♢♢
検診から家に戻り、夫たちに子どもの性別を報告する。
「マジで?譲さんと慶斗さんの子も、男の子なんすか?」
「俺と慶斗さんの子じゃなくて、繭さんと慶斗さんの子どもなんですけどね。」
桜雅に苦笑しながら言葉を返す譲の隣に、雫も加わった。
「譲さんと慶斗さんと繭の子どもで、うちのパパたちみんなの子どもでもありますから。譲さん、もし良かったら・・・俺、出産立ち会ってもいいですか?」
「え・・・雫さん、立ち会ってくれるんですか?」
「譲さんさえ良かったら、ぜひお願いします。」
「もちろんです・・!」
パッと明るい顔になった譲を見て、やはり出産に不安があるのだなと思い知る。
代理出産という難しい道を選択してくれた彼に、頭が上がらない。
苦しい時辛い時、家族にそばで支えて欲しいという気持ちは痛いほどわかった。
「俺も出産の時、雫さんが居てくれてほんと心強かったんで。」
「桜雅君、すごく頑張ったよね。」
雫のサポート能力は、ずば抜けている。
桜雅の出産時、相変わらず役に立たずオロオロする私にさえも、雫は細やかなフォローをしてくれた。
「桜雅君、俺が出産する時は・・立ち会ってくれるのかな?」
雫が可愛く首を傾げて桜雅に迫ったのを見て、ドキッとしてしまう。
「え?マジで・・?それは断れねぇわ。」
雫は仕事のため、妊活を一時中断している。
二人のやりとりを聞いて、妊活再開?!と一人で勝手に喜んでしまった。
「俺も、雫さんが出産する時は、立ち会いますね。」
いつもは夫たちに少し遠慮がちな態度の譲が楽しそうに話しているのを見て、嬉しくなる。
「譲さんはお医者さんですし、すごく心強いです。」
夫たちの仲良し立ち会い出産トークを聞いていたら、身体中癒されてしまった。
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