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『エッチな声』
しおりを挟む夫の明光は、アノ時の声が大きい。
私の中に挿入した瞬間の苦しそうな喘ぎ声は、何度聞いても聞き慣れることなく興奮を煽られる。
和食割烹の店主で、世界的に有名な料理人。
胸下まで伸ばした美しい黒髪、きめ細やかな白肌は、女である私の自尊心を粉々に砕いてしまうほど美しい。
線が細く和服が似合う、儚げな雰囲気の色男。
なのに、セックスは誰より激しい。
「あ~・・繭、気持ちイイ・・・!!そんなに締めちゃ、僕すぐにイッちゃいそうだよ。」
普段の彼は清楚を具現化したような男性で、乱れた姿なんて想像できない。
お酒が入ると目がとろんと潤んで、抑えようのない色香が溢れ出す。
ベッドでは、まるで別人だ。
精力も桁外れ。一晩に5、6回求められることもザラにある。
「あぁー、イクよ、中に出すよ・・っ・・・うぅッ!!」
射精する瞬間、低くて実に男らしい呻き声をあげる彼のギャップに、私は夢中だった。
「繭のその可愛いお口で・・・僕の舐めてくれる?」
美しい切れ長の瞳に宿る、男の劣情。
その二面性に、ゾクゾクと背筋が震える。
「あ~~、繭は本当にフェラが上手だね。また奥までブッ刺したい気分になっちゃった。」
耳元で発せられる、セクシーなウィスパーボイス。
上品な顔立ちの彼が卑猥な言葉を吐き捨てるギャップに、私は何度でも昇天させられる。
長い髪を振り乱しながら腰を激しく打ちつけ喘ぎ狂う姿は、いつ見ても官能的だ。
野獣のように荒々しい呻き声をあげながら、彼はまた私の最奥に精を放った。
♢♢♢
「明光さんってさぁ、エッチの時の声すごいよね。」
朝、洗面所で歯磨きをしていると、樹が感心したようにそう口にした。
「い、樹君・・・、き、聞こえてた・・・・!?」
「いや~聞こえるだろ。俺も思ってた。あんな上品な明光さんが、ベッドではすげぇ激しいんだな~って。」
逆隣で歯を磨いていた桜雅も、自然な流れで話に参加する。
「桜雅君まで・・・え?!桜雅君の部屋まで聞こえてるの・・・?!」
明光の部屋は一階だ。隣の部屋の樹に聞こえているのはわかるが、2階の桜雅の部屋まで聞こえているとは。
「俺の部屋、明光さんの部屋の真上だからな。」
「明光さんの声エロすぎて、俺興奮して一人でシちゃったもん。」
すごい言葉をあっけらかんと言う樹に、思わず吹き出す。
「な・・・朝から何の話してんだよ・・・っ」
声に驚いて3人同時に振り返ると、我が家で一番ウブな夫、泉が顔を真っ赤にして立ちすくんでいた。
「皆んながどんなえっちしてるのか、俺前々から気になってたんだよね~。」
「うわ、悪趣味。俺は全然知りたくねぇ。繭ちゃんが他のやつに抱かれてると思うと、マジでムカつくし萎えるわ。まぁ・・明光さんの声は確かにエロイし、気になるけど。」
「だから・・・っ・・朝っぱらから何の話だよ・・・っ」
泉が赤面したままワナワナと小刻みに震え出す。
「なぁなぁ、泉、今度俺と繭たんと3人でエッチしてみねぇ?」
「はぁ?!」
「泉がどんなエッチすんのか見てみたいし、3人でしたらさらに興奮しそうじゃない?」
「はぁ・・・?!んなわけねぇだろ、バカ・・・・!樹の変態野郎・・ッ!!」
(樹君と泉君・・・若い二人の夫に囲まれて3人でエッチかぁ・・・♡)
とんでもない話になっていくのを、私はエッチな妄想を繰り広げながら傍観していた。
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