139 / 182
『お前が悪い』
しおりを挟む「どうした?珍しいな、お前が俺の職場に来るなんて。」
夫の大和は、元水泳選手で今はコーチとして活躍している。
競泳用の水着で現れた彼の身体。何度もベッドで拝見しているはずなのに、眩しすぎて直視できなかった。
(我が夫ながら・・・・本当に良い身体してるなぁ・・・♡)
思わず鼻の下が伸びそうになるのを打ち消して、律からの伝言を口にする。
「お弁当忘れてましたよ。届けにきました。」
この近くのスタジオで収録があるというので、音弥の車に乗せてもらってここまで来た。
「ランチ一緒に食べるか?なんか話したいことがあるんだろ。」
大和は鋭い。
初めて会った時の横暴な態度がまるで嘘のように、今は私の些細な変化に気づいてくれる。
「雫の好みのタイプ・・・?」
「そうなんです、どんな女性が好みかわかりますか?」
「今更何の話だ?雫が好きなのはお前だぞ。」
「そうじゃなくて、結婚する前の雫さん、どんな女性が好みだったのかなぁって。」
「・・なぁ、何があったんだ?急にそんなこと聞くなんて、明らかにおかしいだろ。」
絶対に内緒にして欲しいと念押しして、私は事の経緯を大和に話した。
「浮気・・?雫が・・・?それは絶対にない。」
「なんで・・・・わかるんですか・・。」
大和と雫の絶対的信頼関係を垣間見た私は、妻として情けない気持ちになる。
「あいつが浮気なんてするはずないだろ。俺といてもいつもお前の話ばかりしてるようなやつだぞ?」
「じゃあどうして内緒にしたんだろう・・・気になって仕方なくて・・・」
「雫に直接聞いてみろよ。」
それしかない。
こんなふうにコソコソ嗅ぎ回っていても、結局は雫と直接話して解決する他に道はないのだ。
「大和さん、ありがとう。家で帰りを待ってますね。」
廊下で別れようとお辞儀をすると、突然手を引かれ奥の部屋に連れ込まれた。
「ちょ・・・や、大和さん・・?!」
男性用の更衣室。
彼はシャワールームに私を引き摺り込むと、カーテンを締めた。
「俺に会いに来てくれたと思ったら、雫の話ばかりして・・・このまま帰すと思うか?」
「・・っ・・・ん・・・・大和・・・さ・」
無理矢理重ねた唇を割って、彼の舌が入り込んでくる。
水着姿にパーカーを羽織っただけの身体。逞しい腕、背中、引き締まった腰。
目のやり場に困るほど、彼は魅惑的だった。
「このまま、ここでお前を抱く。」
「な・・・何言って・・・人が来ちゃう・・・っ」
「お前が悪い。」
完全にスイッチが入ってしまった大和は、私の制止も聞かず何度も熱い口付けを繰り返した。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
718
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる