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『お前が悪い』

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「どうした?珍しいな、お前が俺の職場に来るなんて。」

夫の大和やまとは、元水泳選手で今はコーチとして活躍している。
競泳用の水着で現れた彼の身体。何度もベッドで拝見しているはずなのに、眩しすぎて直視できなかった。

(我が夫ながら・・・・本当に良い身体してるなぁ・・・♡)

思わず鼻の下が伸びそうになるのを打ち消して、りつからの伝言を口にする。

「お弁当忘れてましたよ。届けにきました。」

この近くのスタジオで収録があるというので、音弥おとやの車に乗せてもらってここまで来た。

「ランチ一緒に食べるか?なんか話したいことがあるんだろ。」

大和は鋭い。
初めて会った時の横暴な態度がまるで嘘のように、今は私の些細な変化に気づいてくれる。



しずくの好みのタイプ・・・?」

「そうなんです、どんな女性が好みかわかりますか?」

「今更何の話だ?雫が好きなのはお前だぞ。」

「そうじゃなくて、結婚する前の雫さん、どんな女性が好みだったのかなぁって。」

「・・なぁ、何があったんだ?急にそんなこと聞くなんて、明らかにおかしいだろ。」

絶対に内緒にして欲しいと念押しして、私は事の経緯を大和に話した。


「浮気・・?雫が・・・?それは絶対にない。」

「なんで・・・・わかるんですか・・。」

大和と雫の絶対的信頼関係を垣間見た私は、妻として情けない気持ちになる。

「あいつが浮気なんてするはずないだろ。俺といてもいつもお前の話ばかりしてるようなやつだぞ?」

「じゃあどうして内緒にしたんだろう・・・気になって仕方なくて・・・」

「雫に直接聞いてみろよ。」

それしかない。
こんなふうにコソコソ嗅ぎ回っていても、結局は雫と直接話して解決する他に道はないのだ。


「大和さん、ありがとう。家で帰りを待ってますね。」

廊下で別れようとお辞儀をすると、突然手を引かれ奥の部屋に連れ込まれた。

「ちょ・・・や、大和さん・・?!」

男性用の更衣室。
彼はシャワールームに私を引き摺り込むと、カーテンを締めた。

「俺に会いに来てくれたと思ったら、雫の話ばかりして・・・このまま帰すと思うか?」

「・・っ・・・ん・・・・大和・・・さ・」

無理矢理重ねた唇を割って、彼の舌が入り込んでくる。

水着姿にパーカーを羽織っただけの身体。逞しい腕、背中、引き締まった腰。
目のやり場に困るほど、彼は魅惑的だった。

「このまま、ここでお前を抱く。」

「な・・・何言って・・・人が来ちゃう・・・っ」

「お前が悪い。」

完全にスイッチが入ってしまった大和は、私の制止も聞かず何度も熱い口付けを繰り返した。



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