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『芸術と裸体』

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「それで・・・OKしたのか?」

「しました・・・モデルくらい良いよね・・?」

煌大こうだいは珍しく眉間に深い皺を刻んで、綺麗な顔を歪めている。
志方しかたと偶然再会しモデルを頼まれた旨を伝えると、彼は一気に取り乱した。

「モデルって・・・あいつは女の裸を描くのが好きな変態なんだぞ?!脱がされるんだぞ!?」

(裸・・・あの銀髪イケメンに・・・脱がされちゃうの・・・!?よっしゃ・・・!!!)

内心大喜びでガッツポーズをきめた私の両肩を掴むと、彼はガックリと肩を落とした。

今夜は煌大とあい、3人で過ごす当て日の夜だ。

「え?裸の絵?なんだ、そいつって煌大と同じ趣味してんじゃん。」

愛が珍しく暢気のんきな感想を口にする。
彼の言葉を聞いて、以前煌大が描いた官能的な絵画を思い出した。

「愛!そんな暢気なこと言ってる場合じゃないだろ。俺たちの妻が、他の男に裸にされるんだぞ・・・!?」

「何騒いでんの?芸術で女の裸を描く人間は、全員ただのエロ男ってこと?」

芸術ってそんなもん?と疑いの目を向ける愛に、煌大はたじろいだ。

「いや、そうは言ってない・・・けど・・・。」


まゆが大丈夫って言うんなら、大丈夫なんでしょ。俺たちの妻は、人を見る目あるし。」

全面的に信頼してくれている愛の発言に、ズキンと胸が痛む。

あわよくば彼と二人きりで甘い時間を・・・なんて夢を見ていた節操のない自分が恥ずかしい。
浮気するな!と強く言い付けられるより、信頼を持って送り出される方が浮気できないというのは、こういう意味だったのかと思い知る。


「・・そんなに心配だったら、俺ついて行けるけど。」

「え・・?!いいのか?」

しゅんとしていた煌大が、嬉しそうに顔をあげて愛を見た。

「煌大は個展の準備で抜けられないんでしょ?妻が男の家に二人きりで裸にされるっていうのは、さすがに他の奴らも納得しないんじゃない。」

「助かる・・愛が一緒にいたら、あいつも繭にいやらしいこと出来ないだろうし。」

うんうん、と嬉しそうに頷きながら話す煌大に、愛は呆れ顔で笑った。

「お前さ、自分の幼馴染そこまでボロクソに言う?煌大がそんなにムキになるってことは、よっぽどイイ男なんだろうね、そいつ。」

「別にいい男なんかじゃない!女たらしってだけだ。」

「繭は俺たちに夢中だし、浮気なんてしないだろうけど・・・」

愛の大きな瞳が私を見つめて近づいてくる。
次の瞬間、私はベッドに押し倒されていた。

「他の男の前で欲情しないように、今夜はたっぷり満足させてあげるね?」

可愛い顔立ちからは想像もつかない、男らしい攻めの表情。

「あ・・愛ちゃん・・・・?」

「それは良い考えだな。」

愛と煌大は顔を見合わせて、ニッと微笑む。
この後私は二人のイケメン夫から全力で愛され、幸せすぎる夜を過ごした。
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