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『薬の効果』

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綾人あやとさんでも、体調崩したりするんだな。」

「俺をなんだと思ってるのかな、桜雅おうが君。」

部屋に入ると、夫の綾人がぐったりとベッドに横たわっていた。
仕事が忙しくても徹夜明けでも、どんな時も王子様のようにキラキラしている彼が、珍しく弱っている。

「うぇ・・ムカムカする・・・吐きそう・・・」

「ほら綾人さん、ここに用意してあるから。」

桜雅が慣れた様子でテキパキと介抱している。

熱のせいなのか、頬を赤く染めた綾人は妙になまめかしい。


「お前、よくこんなの耐えられたね桜雅・・つわりって毎日こんなだろ・・・」

「まぁ辛かったけど、過ぎ去れば忘れるから不思議なもんだよな。」

「俺無理。吐き気が一番苦手かも・・・」

「しょっちゅう二日酔いになってるくせに、よく言うわ。」

綾人の身体を起こして支え、背中を優しくさする桜雅。
イケメンは何をしていても、絵になる。

(弱ってる綾人さん・・・なんだか妙に色っぽい・・・・♡)

夫が体調不良だと言うのに不謹慎極まりないが、2人のイケメン夫の絡みについ見惚れてしまった。


家族が体調不良の時、頼りになるのは医師である夫、慶斗けいとだ。
診察をするために綾人の部屋へやって来た彼は、体温や血圧などを一通り確認した後に口を開いた。


「綾人、お前・・薬飲んだ?」

「え?あ~飲みました。病院から処方されたやつ。」

「あのな、前回の薬の効き目が今月末までだから、来週から飲むようにって指示されたの聞いてなかったのか?」

「え!マジで?」

慶斗は呆れた表情を浮かべ、深いため息を吐き出す。


「薬の効き目が過剰になってるんだよ。バカだな。」

「バカって・・先輩、もう少しオブラートに包んで言って欲しいんですけど?」


慶斗が、綾人の身体を覆っている布団を、バッと勢いよく剥がした。

「ちょっ・・先輩、何して・・」

「なるほどね。」

パジャマの上からでもはっきりとわかる、綾人の下半身の膨らみ。
顔が赤く妙に色っぽい原因は、風邪ではないらしい。

「今のお前は、媚薬を飲んだのと同じような状態、ってことだね。」


(媚薬・・・!?あぁ・・・綾人さん・・・エロ・・・ッ・・エロすぎます・・・神様・・・♡)

思わず神に祈りを捧げたい気持ちになるほど、夫の綾人はいやらしいフェロモンを放っていた。


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