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『まさかのベッドイン』
しおりを挟む「桜雅君、起きてる?」
「ん・・っ・・・あ~、やべ、もうこんな時間かよ?悪い、」
買い物に行こうと約束している時間になっても桜雅の姿が見えないので、彼の部屋に様子を見に来た私は、とんでもない光景を目にして固まってしまった。
「え・・・桜雅君・・・?雫さん・・・・え・・・?」
桜雅のベッドで、雫が添い寝している。
その上、彼ら二人は何故か裸だった。
(イケメン2人が・・・・まさかのベッドイン・・・・!?)
思わず鼻血が吹き出しそうになり手で押さえた私を、不思議そうに寝ぼけ眼で見ている桜雅は、寝起きとは思えない完璧なイケメンぶりを発揮している。
寝起きで乱れた髪をかきあげながら時計を見る桜雅と、その横でスヤスヤと美しい顔で寝息を立てている雫。
あまりに美しい光景に、私は呆然と見惚れてしまう。
「え・・・?雫さん・・・・?つうか、何で裸?」
隣で眠る雫にようやく気づいた桜雅が、わけがわからないという表情で私を見る。
「仲が良いとは思ってたけど・・・っ・・・まさかそこまでの仲だったとは・・・っ!!??」
「いや、繭ちゃん落ち着け。勘違いすんなよ?」
パニクる私を宥めようと慌てながらも、桜雅はとりあえずベッド脇にあったシャツを羽織った。
「俺がいつも裸で寝るのは知ってるだろ?繭ちゃんと寝る日以外も、そうなんだけど?」
知らなかった。
私と寝る日=当て日限定だと思っていたけれど、この美しい夫は毎晩こんないやらしい姿で寝ているらしい。
(毎晩、桜雅君の裸・・・のぞきにこようかな・・・♡)
「ん~・・・・俺、これ以上は・・・もうダメ・・・・だから・・・っ」
雫が、思い切り意味深な甘い言葉を発しながら寝返りを打ち、桜雅に抱きつく。
(きゃー!!!!美しすぎる・・・・!!むしろ永遠に見ていたい・・・!!!)
「じゃ・・・邪魔してごめんなさい・・?!!覗くつもりは全然なかったんだけど・・・」
「だから~、繭ちゃん!違うんだって、これは誤解で・・・・!」
慌てて弁解している桜雅の困り顔も、美しい。
雫を起こそうと躍起になる夫をよそに、私は二人の美しいベッドイン姿を目に焼き付けていた。
♢♢♢
「妻の部屋ならまだしも、桜雅の部屋っていうのがまた雫らしいな。」
「いや、大和さん、全然笑えねぇから。」
はははと軽く笑って流した大和に、桜雅がツッコミを入れる。
幼馴染の大和にとっては、驚くに足らないエピソードらしい。
「桜雅君、本当にごめんね。俺、昨日大和と飲みに行って、自分の部屋に戻ったつもりだったのに・・」
昨日雫は、妊活の結果を病院で聞き、妊娠していなかったことにショックを受けていた。
妊活を始めたからといってすぐに妊娠するわけではない。
私の代わりに付き添ってくれた大和から、話は聞いていた。
次の妊活予定日まで日数があるので医師に飲酒の許可をとり、落ち込む雫を励まそうと大和が飲みに連れ出してくれたらしい。
「雫さんって、酔うと誰かのベッドに潜る癖あんの?」
「ちが・・・ちょっと桜雅君・・!俺、そんな癖ないよ?昨日はたまたま少し飲みすぎちゃって・・・」
桜雅が揶揄うように言うと、雫が真っ赤な顔で弁解した。
桜雅と私の顔を、交互に見る。
「繭、俺こんなの初めてだし、今まで一度も無いからね?」
私に誤解されたくないと必死になる彼が可愛くて、ほっこりしてしまった。
「なぁ、繭ちゃんって、酒飲むとどうなんの?」
「そういえば一緒に飲んだことないよね。」
夫たちを妊娠させることが目的であるこの制度。
参加すると決めた日から、アルコールは一切飲んでいなかった。
「俺、酔ってる繭ちゃん口説いてみたいんだけど?」
「確かに興味あるかも・・・・繭、顔赤くなったりする?」
興味津々でこちらを見る桜雅と雫の視線が、なんだかくすぐったい。
「お酒は弱いから・・・あまり飲めないし、すぐ赤くなっちゃうかな。」
「強そうに見えるのに意外だな。飲んだらすぐ赤くなるとか・・・結構ソソる。」
大和の呟きに、桜雅と雫がムッとした顔で反応する。
「大和さん、勝手にエロイ妄想すんのやめてくんねぇ?」
「俺の妻で妄想して、何が悪い?」
「繭は、俺の奥さんでもあるんだから、そういう発言は控えてよね、大和。」
夫たち全員が妊娠出産を終え、役割が終わった後の自分を想像してみる。
私や彼らも歳を重ねていき、いずれはこの制度上での役割を終える時がくる。
いつか家族みんなでお酒を飲める日が来たら、その時は子どもたちも一緒に・・・なんて妄想をしながら、私はかけがえのない時間を過ごしていた。
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