86 / 184
『二人きりの夜』
しおりを挟むライトアップされた、夜のテーマパーク。
夜景が一番綺麗に見えるスポットに、雫が案内してくれた。
これから花火が上がるらしい。
どの辺に見えるのか聞こうと顔を上げたら、彼と唇が重なった。
もう一度、チュッと音を立てて、彼が唇を重ねる。
周りの男性たちが、ギョッとしたのがわかった。
「ごめん、少し大胆過ぎたね。」
赤い顔で苦笑する雫を見て、キュンとなる。
周囲の目を気にせずに行動するなんて、彼には珍しいことだった。
今度は私の方から、衝動的にキスをした。
閉園間際の花火が上がる。
「ホテル、戻ろう。」
しばらく黙り込んでいた彼が、繋いでいる手にぎゅっと力を込める。
「でも、まだ花火が・・・」
「繭と、早くシたい。」
(雫さんのこんな顔・・・初めて・・・・っ)
男性の荒々しい部分をあまり見せない中性的な彼が、男の顔をしている。
ホテルの部屋。
扉がバタンと閉まる音と同時に、深く口付けられた。
もう待てないと焦る彼が、トレンチコートを脱ぎ捨てる。
乱暴な手つきで私の服を脱がすと、彼は私の胸元を吸い、赤く痕を残した。
大きなベッドに押し倒され、身動きが取れない。
「繭、もう我慢できない・・・めちゃくちゃに、抱いてもいいかな・・?」
ハァハァと肩で呼吸する彼は、切なそうな表情で私を見下ろしている。
ギリギリ理性を保っているのだとわかる官能的な表情。
「雫さんに・・・めちゃくちゃにされたいです・・・っ」
自らスカートを捲し上げて、腰を揺らす。
彼は私の下着を勢いよくおろし、細く長い指で私の内側を探った。
「あっ・・・んぅ・・・ぅ」
「すごい・・・溢れてるよ・・繭も、俺が欲しかった?」
「雫さんが・・・っ欲しくてたまらなかった・・・っ」
「今すぐ、あげるね。」
ぐんと最奥に入り込んだ彼の熱に、息を飲む。
二人きりの部屋に、雫と私の喘ぎ声が響いた。
「繭をずっと・・俺だけのものにしたい。」
「雫さん・・っ・・・」
いつもは抑えている、彼の本心。
他の夫たちを気遣い、私を困らせないように伏せている、雫の独占欲。
「大丈夫。心配しなくても、ちゃんといつもの俺に戻るから・・帰るまでは、俺だけの繭でいて・・・?」
甘えるような彼の声。
彼は返事も待たず、私の中に欲望を何度も何度も突き立てる。
「繭・・・っ愛してる・・・っ」
身体の奥深くに彼の熱を感じながら、私は意識を手放した。
0
お気に入りに追加
788
あなたにおすすめの小説
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
明智さんちの旦那さんたちR
明智 颯茄
恋愛
あの小高い丘の上に建つ大きなお屋敷には、一風変わった夫婦が住んでいる。それは、妻一人に夫十人のいわゆる逆ハーレム婚だ。
奥さんは何かと大変かと思いきやそうではないらしい。旦那さんたちは全員神がかりな美しさを持つイケメンで、奥さんはニヤケ放題らしい。
ほのぼのとしながらも、複数婚が巻き起こすおかしな日常が満載。
*BL描写あり
毎週月曜日と隔週の日曜日お休みします。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
旦那様が多すぎて困っています!? 〜逆ハー異世界ラブコメ〜
ことりとりとん
恋愛
男女比8:1の逆ハーレム異世界に転移してしまった女子大生・大森泉
転移早々旦那さんが6人もできて、しかも魔力無限チートがあると教えられて!?
のんびりまったり暮らしたいのにいつの間にか国を救うハメになりました……
イケメン山盛りの逆ハーです
前半はラブラブまったりの予定。後半で主人公が頑張ります
小説家になろう、カクヨムに転載しています
今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。
目が覚めたら男女比がおかしくなっていた
いつき
恋愛
主人公である宮坂葵は、ある日階段から落ちて暫く昏睡状態になってしまう。
一週間後、葵が目を覚ますとそこは男女比が約50:1の世界に!?自分の父も何故かイケメンになっていて、不安の中高校へ進学するも、わがままな女性だらけのこの世界では葵のような優しい女性は珍しく、沢山のイケメン達から迫られる事に!?
「私はただ普通の高校生活を送りたいんです!!」
#####
r15は保険です。
2024年12月12日
私生活に余裕が出たため、投稿再開します。
それにあたって一部を再編集します。
設定や話の流れに変更はありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる