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『二人きりの夜』
しおりを挟むライトアップされた、夜のテーマパーク。
夜景が一番綺麗に見えるスポットに、雫が案内してくれた。
これから花火が上がるらしい。
どの辺に見えるのか聞こうと顔を上げたら、彼と唇が重なった。
もう一度、チュッと音を立てて、彼が唇を重ねる。
周りの男性たちが、ギョッとしたのがわかった。
「ごめん、少し大胆過ぎたね。」
赤い顔で苦笑する雫を見て、キュンとなる。
周囲の目を気にせずに行動するなんて、彼には珍しいことだった。
今度は私の方から、衝動的にキスをした。
閉園間際の花火が上がる。
「ホテル、戻ろう。」
しばらく黙り込んでいた彼が、繋いでいる手にぎゅっと力を込める。
「でも、まだ花火が・・・」
「繭と、早くシたい。」
(雫さんのこんな顔・・・初めて・・・・っ)
男性の荒々しい部分をあまり見せない中性的な彼が、男の顔をしている。
ホテルの部屋。
扉がバタンと閉まる音と同時に、深く口付けられた。
もう待てないと焦る彼が、トレンチコートを脱ぎ捨てる。
乱暴な手つきで私の服を脱がすと、彼は私の胸元を吸い、赤く痕を残した。
大きなベッドに押し倒され、身動きが取れない。
「繭、もう我慢できない・・・めちゃくちゃに、抱いてもいいかな・・?」
ハァハァと肩で呼吸する彼は、切なそうな表情で私を見下ろしている。
ギリギリ理性を保っているのだとわかる官能的な表情。
「雫さんに・・・めちゃくちゃにされたいです・・・っ」
自らスカートを捲し上げて、腰を揺らす。
彼は私の下着を勢いよくおろし、細く長い指で私の内側を探った。
「あっ・・・んぅ・・・ぅ」
「すごい・・・溢れてるよ・・繭も、俺が欲しかった?」
「雫さんが・・・っ欲しくてたまらなかった・・・っ」
「今すぐ、あげるね。」
ぐんと最奥に入り込んだ彼の熱に、息を飲む。
二人きりの部屋に、雫と私の喘ぎ声が響いた。
「繭をずっと・・俺だけのものにしたい。」
「雫さん・・っ・・・」
いつもは抑えている、彼の本心。
他の夫たちを気遣い、私を困らせないように伏せている、雫の独占欲。
「大丈夫。心配しなくても、ちゃんといつもの俺に戻るから・・帰るまでは、俺だけの繭でいて・・・?」
甘えるような彼の声。
彼は返事も待たず、私の中に欲望を何度も何度も突き立てる。
「繭・・・っ愛してる・・・っ」
身体の奥深くに彼の熱を感じながら、私は意識を手放した。
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