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『独占欲』

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久々の、しずくとの夫婦時間。

何度も身体を重ねた後、裸のままベッドの中で語り合う。
私と雫は、夫婦の会話を何より大切にしている。

ハルが生まれたり、新しい夫が増えたり、バタバタしていたので、二人きりでゆっくり話すのは久しぶりだった。


「少し変わった雰囲気の子だなぁと思ってたけど、なるほど・・・そういう性癖があるんだね。」

歯科医院での真琴まこととの一件を、彼に相談する。
他の夫との話であっても、雫はいつもきちんと向き合って助言してくれた。

「私の歯並びにしか興味がないみたいですけど・・・とりあえず、少しでも興味持ってもらえる部分があって一安心かなぁ・・・」

私自身にも家族にも興味がない、と断言された後だったので、どんなきっかけでもあるだけマシだと思える。


「俺はノーマル過ぎて、つまらないかな・・?繭に、刺激を与えられる男でありたいって気持ちだけはあるけど・・」

苦笑する雫に、心底癒される。
穏やかでバランスの取れた雫の思考が、私は大好きだ。

「表情には出ないけど、実は嫉妬深いところ・・・すごく刺激的ですよ。」

新しい夫が増えると率先して面倒を見てくれる雫が、実は嫉妬や不安を抱えていることを、私は知っている。
ベッドでの彼が、普段以上に丁寧に、何度も求めてくれることが嬉しかった。

「真琴君、最近ずっとまゆにくっついているよね。独占したい・・っていう彼の気持ち、俺もよくわかるよ。」

「雫さん・・・」

彼がまた、私の身体の上に乗り、深く唇を重ねる。

「明日の朝までは、俺が繭を独り占めするから、覚悟してね?」

「雫さん、大好き・・・」

甘く囁く彼に応えるように、指を絡め、私は未だ火照ったままの身体を開いた。




♢♢♢


「真琴、お前の席・・・こっちだよ?」

「やだ。俺は、繭の隣がいい。」

歯並びを気に入られてからというもの、家に居るときの真琴は、ずっと私のそばを離れなかった。
食卓についた彼が、私の隣の席に座ったのを見て、いつきが声をかける。
我が家のルールも、真琴には通用しない。

「そこ、いずみの席だし・・・」

私の隣の席は、泉の席だ。
そう指摘しようとした樹に、泉が声をかける。

「別に良いんじゃね?たまには違う席で食っても。」

泉の大人な対応に、じんときてしまった。

ハルが生まれてから、私は涙腺が緩くなった気がする。
年下の夫たちに対して、子どもを見守る母親のような感情が芽生えていた。


真琴の独占欲は、日に日に強くなっていく。
初の当て日は来週末に設定されているが、彼は毎晩私の部屋を訪ねてくる。

「今夜は、朝まで繭と一緒にいたい。」

至近距離で見つめられ、熱い視線に流されそうになるのをグッと堪えて、彼を見た。


「今日は、予定が入ってるから・・・ごめんね。」

他の夫との当て日を、簡単に覆すわけにはいかない。

真琴の綺麗な指が、ゆっくりと私の唇にってくる。
先日の興奮が蘇りそうになって、慌てて距離をとった。

「アンタが他の男に抱かれてるって思ったら・・・気が狂いそうなくらい・・・苦しくてたまらなくなる。」

「真琴君・・・」

「早く・・俺のものにしたい。めちゃくちゃに抱いて・・・アンタは俺のものだって、身体中にしるしをつけたい。」

独占欲をぶつけられる瞬間は、何度味わってもたまらない。
愛されているのだと実感して、優越感で心が満たされていく。

一人だけを愛することは出来ないけれど、それでも彼を夫として愛しているのだと伝わるように努力したい。


「真琴君、来週末・・・二人きりで、夫婦になったお祝いしようか。」

「・・・繭、」

彼は、名残惜しそうに私の身体を抱きしめると、「わかった。」と小さく頷いた。




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