【※R-18】私のイケメン夫たちが、毎晩寝かせてくれません。

『歯並び』

「こんなエロイ歯並びの女、初めて見た。」

「え・・・・？」

放心状態の真琴まことに、かける言葉が見当たらない。


（いや、ただ歯並びが悪い女ってだけでしょ・・・！）

自分の歯並びの悪さは、誰より知っている。

決して誰かに誇れるような、美しいものではない。
矯正をしたらまだマシだったかも、と大人になってから随分後悔したものだった。
私の容姿はそれ以外にも難点が多すぎるので、直すだけお金の無駄だったかもしれないと、思い直す。


薄いラテックスの感触が、歯列をゆっくりとなぞっていく。
舌や口腔内の敏感な部分を、指先で優しく撫でられて、背筋がゾクリと震えた。

ゾワゾワと身体の表面を走り抜けるような、初めての刺激。
「快感」と言ってもいいような、その曖昧な感覚に、どう対処していいのかわからない。


「今日はもう診療室閉めることにしたから。君たちも、帰っていいよ。」

真琴は、歯科衛生士や受付の男性にそう告げると、部屋に鍵をかけた。


「え・・？真琴君・・・・？」

「もっと、触っていい・・・？」

「え、いや、あの・・・・」

「ダメって言われても、俺・・止められないから・・・」

まさか歯科医院の治療台の上で、初めての快感に身悶えることになるとは。


「ん・・・っ・・・・・はぁ・・・」

彼は、散々私の口内に指を突っ込んだ後、熱烈なキスで私の興奮を煽る。
私の歯列を舌で確認するように、執拗に深いキスを繰り返した。

（こんなに激しいキス・・・初めてかも・・・・）

歯医者の治療台の上という、非日常的なシチュエーション。
彼が欲しくてたまらない状態にまで追い込まれたというのに、彼はキス以上のことは何もしてこなかった。

（さすが歯医者さん・・・ッ・・・キス・・・巧すぎ・・・）

私は、意味不明な感想を抱きながら、彼の舌をじっくりと味わう。
繰り返される彼のキスにすっかり翻弄ほんろうされてしまい、帰る頃には欲求不満で爆発しそうになっていた。

それにしても、色々な性癖があるのだなぁ、と感心する。

嫌がる相手にしか興奮できないと言っていた、煌大こうだいとの初夜を思い出していた。
そんな彼も今ではノーマルな交わりで、愛を示してくれる。

新しい夫の性癖に圧倒されながら、新たな刺激に私の心は躍っていた。