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『子作りのためじゃない』
しおりを挟む「繭、俺とお前の子どもが出来た。」
夫の耀亮は、いかにも男らしい態度で私にそう告げた。
夫から妊娠したと告げられるとき、私は驚きと喜びと共に、夫に対する愛情が溢れ出して言葉を失う。
「本当に・・?!」
「あぁ。今日病院に行って、確認してきた。」
「私もついて行きたかったなぁ。すごく嬉しい・・・私と、耀亮君の赤ちゃん・・・」
彼のお腹に、そっと手を伸ばして触れる。
「早く会いたいね。」
「あぁ。俺の腹ん中に、繭との子どもがいるなんて、まだ信じらんねぇ。」
私の手に、彼の手のひらが優しく重なる。
「もう子どもは腹ん中にいるのに、もっとお前を欲しいって欲張っちまうのは、何でなんだろうな。」
彼は私の手を引いて、胸に引き寄せるとぎゅっと抱きしめた。
トクン、トクンと彼の鼓動が、心地よく耳に伝わってくる。
「繭。お前が欲しい。」
私の耳を甘噛みしながら、低い声で囁く。
耀亮の声は、雄の強さが溢れていて、雌の本能を煽る。
「耀亮・・・君・・・っ・・・」
「耀亮、って呼んでくれよ。」
「耀亮・・・ぇ・・・」
彼はルックスだけでなく、性格も、仕草も、言葉も全てが男らしい。
身体の求め方も、率直で情熱的で、荒々しいものだったけれど、子作りを始めてからは、とても優しく私に触れるようになった。
唇が重なる。
舌が差し込まれ、少しずつ深く、濃厚なキスへ変化していく。
「繭、今夜は優しく出来そうにない。」
切羽詰まった彼の声を、久しぶりに聞いた。
欲情を隠せない、熱い瞳。
見つめられているだけで、全身がふやけて溶けだしてしまいそうだ。
目を少しでも逸らしたら、すぐに食べられてしまいそうな、野生の獣の瞳。
「俺がお前を抱きたいって思うのは、子作りのためじゃねぇってこと、今はっきりわかった。」
抱え上げられて、ベッドに思い切り押し倒される。
「耀亮・・ッ・・・」
パジャマの胸元を力づくで開くと、彼は私の膨らみに吸い付いた。
さっきまで私の舌と絡み合っていた彼の舌が、今はいやらしく私の突起を責め立てる。
「んぅぅ・・あ・・・激し・・っ・・・」
激しく舌を動かしながら、彼は私のパジャマのズボンを下着ごと思い切りおろした。
「耀亮・・・ぇ・・・」
「お前のここに・・・お前の腹がいっぱいになって溢れてきちまうくらい、注ぎ込みたい。」
節が太く、ゴツい彼の指に体内を侵される快感。
「あっ・・ダメ・・・っ」
「お前の中で、ぐちゃぐちゃに混ざり合いたい。」
Tシャツを脱ぎ捨てると、凶器にさえ思える大きさの性器を取り出して、彼は私の中に入り込んできた。
「あぁ・・・っ!!」
たくましい彼の腕に抱かれながら、二人の赤ちゃんを想う。
(このムキムキのお腹の中に、赤ちゃんがいるなんて・・信じられない・・・・。耀亮君、相変わらず男らしくてカッコイイ・・・・♡)
子作りのためだけじゃない、夫婦の交わり。
夫婦として時を重ねるたびに、彼のことをどんどん好きになっている。
私たちは、貪るようにお互いの身体を激しく求め合い、快楽の底へ深く落ちていった。
♢♢♢
「お前、妊娠したらしいな。」
「おう。」
珍しく桜雅と耀亮が、ソファーに並んで座っている。
律が淹れてくれたお茶を雫と一緒に飲みながら、二人を見守っていると、桜雅が立ち上がって耀亮に何かを差し出した。
「これ、やるよ。俺にはもう必要ねぇから。」
「あ?・・・おう、サンキュ。」
姓名判断の本。
出産はまだ先だけれど、生まれてくる子どものために、桜雅は準備を進めている。
教育方針についてまで、すでに話し合っているほどだった。
夫たちそれぞれの考え方や、出産に対する準備の仕方。
個性があって面白い。
「桜雅君、耀亮君のこと心配してるみたいだよ。サプリとか色々教えてやって欲しいって、俺頼まれてるんだ。」
雫が、嬉しそうに笑う。
うちの夫たちは本当に思いやりのある男性ばかりだと、私は幸せを噛み締めた。
テーブルの下で、雫がこっそりと私の手を握る。
「俺も・・・繭の子どもが早く欲しいな。」
雫と私の子は、どんな顔をしているだろうか。
彼はどんな父親になるのだろう。
夫たちと一緒に、子育てをする幸せ。
私は、これから生まれてくる子どもたちと、夫たちとの新たな生活を思い、期待に胸を膨らませていた。
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