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『秘密の入浴時間』
しおりを挟む生まれてくる子どもの教育方針について、桜雅の部屋で話をしていたら、入浴時間を逃してしまった。
私の入浴時間は、19時から20時の間と決まっている。
ゆっくり入浴できるようにと、夫たちが気を遣って時間を確保してくれていた。
24時過ぎ。
この時間帯なら、さすがに誰も入浴していないだろう。
着替えを持ってお風呂へ向かうと、階段を降りたところで帰宅したばかりの綾人と鉢合わせした。
「綾人さん、おかえりなさい。遅かったですね。」
「どうしても終わらせたい仕事があって、気づいたらこんな時間まで残業してた。」
彼は、慶斗と同じ研究所で働いている。
元スナイパーという異色の経歴だが、今は研究職に就いている。理系大学出身のエリートだ。
「遅くまで、お仕事お疲れ様です。」
「可愛い奥さんにそう言ってもらえると、疲れが吹っ飛ぶな。」
彼は、夜中まで働いていた疲れを、まるで感じさせない爽やかさで笑った。
(綾人さんの王子様スマイル・・・・眩しすぎる・・・・っ♡)
「繭、もしかして今からお風呂?」
「え、あ~・・えっと・・・」
今帰宅したばかりの綾人は、きっとこれから入浴するだろう。
彼がゆっくりと仕事の疲れを癒すのを、邪魔したくない。
「一緒に入ろうか。」
「え・・?」
「俺と一緒に入ろうよ。2人で。」
「え・・っ・・・?綾人さんと、二人で・・・?」
めくるめくいやらしい妄想が、一瞬にして頭を駆け巡る。
(王子と裸で洗いっこしたり、湯船の中であんなことやこんなことを・・・?!)
自分の夫とはいえ、私は彼の裸を見たことがない。
私と綾人は、ベッドで抱きしめ合って眠るステップまでで、それ以上のことは未経験だった。
♢♢♢
「恥ずかしい?」
大きな湯船なのに、2人寄り添って入浴する。
気まずくて端っこに寄っていると、綾人が「おいで。」とこちらへ手を伸ばした。
(いや~、綾人さんの肉体美・・目に毒過ぎる・・・っ・・・さすが元スナイパー・・・逞しい身体・・・っエロいよぉ・・・!!)
ゆるくウェーブした茶色の髪が濡れて、セクシーさが増している。
見ないように心がけても、チラチラと彼の肉体に視線を送るのを止められなかった。
「は・・恥ずかしいです・・・っ。」
これほど美しい男性に、私の醜い裸を見られるということ自体、恥ずかしくてたまらない。
「肌を重ねるのは、俺が繭を愛したいって思える時が来てからで良いって、言ってくれたよね。」
彼が私の手を引いて、抱き寄せる。
「来ちゃった。」
「え?」
「繭の全部を、愛したいって思える時が。」
彼は私の肩を両手で優しく掴んで、私の同意を求めるように見つめた。
「繭を、めちゃくちゃに愛したい。」
「あ、綾人さん・・・っ」
「触れても良いかな?」
彼になら、どんなに無理な要求をされたとしても、私は黙って頷いてしまうだろう。
私に全てを見せることは出来ないと言った彼が、最初の扉を開いてくれている。
「あっ・・・ん~~~ッ・・!!」
「繭の身体、柔らかいね。」
私の体内に、綾人が深く入り込むたびに、パチュパチュといやらしい水音が響く。
水面が激しく波立って、お風呂の温度のせいなのか行為の激しさのせいなのか、私はのぼせてしまったように全身熱くてたまらなかった。
「綾人、さぁん・・・っ」
お尻を手で包み込んで、結合部が見えるように秘部を広げる。
彼はハァっと悩ましげなため息を吐き出しながら、ピストンを繰り返した。
「俺のが、繭の奥まで・・・入ってる・・、すごく濡れてるね、興奮してる・・?」
綾人との初めての行為に私は興奮を抑えられず、ねだるように腰が前後に動いてしまう。
「綾人さん・・私、気持ち良すぎて・・・っ・・・ダメ・・ぇ・・・」
全てを彼に曝け出している。
羞恥心が興奮を煽り、絶頂に達するまで時間はかからなかった。
「繭、可愛いよ。俺のでイッて?」
耳元に彼の甘い声が届いた瞬間、私は声にならないほどの快感に仰反る。
「んーーーッ!!!!」
「あ~、イイッ・・出るッ・・・・!!」
グリグリと最奥まで捩じ込んで、彼が熱い体液を放った。
♢♢
夫婦の初めての営み。
快感が通り過ぎた後の、気だるく心地よい時間。
「これから毎晩、一緒にお風呂に入ろうか。」
綾人が、冗談なのか本気なのか、わからない表情で囁く。
すっかりのぼせてしまった私と彼は、お風呂を上がってしばらくの間、リビングのソファで火照った身体を寄せ合っていた。
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