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『プレッシャー』
しおりを挟む「はぁ・・・どうして僕には、赤ちゃんが来てくれないんだろう・・・」
夫の蘭が、恋煩いでもしているような可愛い顔で、そう呟いた。
ベージュのふわりとしたフェアリーパーマが、彼をより一層幼く見せている。
可愛い顔立ちで、10代にしか見えない彼の、現在進行形の深い悩み。
「あ、ごめんなさい。これから夫婦の幸せな時間を過ごすのに、僕ってデリカシーないですね。」
テディベアの可愛い模様がついたパジャマがよく似合う彼は、しゅんと悲しそうに長いまつ毛を伏せた。
彼は最近入籍したばかりの夫で、子どもを持つことを切に願っている。
「子づくり」という重圧のせいで、夫婦二人の時間を楽しむという余裕がなくなってしまっていた。
「ごめんなさい・・僕、どうして・・・」
プレッシャーのせいか、うまく勃起しない彼を、リラックスさせようと指先で優しく触れる。
「あ・・・っ・・・繭さん・・っ」
「蘭君、今日は赤ちゃんのこと考えずに、気持ちイイことしよう・・・?」
彼の顔が一瞬にして、真っ赤に染まった。
「蘭君の・・・もう、こんなに大っきくなっちゃったよ・・?気持ちイイ・・・?」
「あっ・・・んんっ・・・気持ち・・イイですぅ・・・・っ」
(蘭君の声・・・可愛すぎるんだよなぁ・・・♡)
妊娠したいと焦っている彼の気持ちを、少しでもリラックスさせたかった。
男性の身体が、妊娠に至るという奇跡。
夫が妊娠してふっくらと膨らんだお腹を見ているのに、私は未だに実感が薄かった。
「繭さんの・・中・・ッ・・・気持ちイィ・・・僕、もう・・・っ・・イっちゃうぅ・・・」
私の太ももを大きく開かせて、夢中で腰を打ち付ける彼の顔はとても可愛い。
高い声を上げながら、彼は一番奥で果てた。
彼の願いを叶えてあげたい。
そう思いながら、私の上で息を荒げている彼を、優しく抱きしめた。
♢♢♢
妊娠のために今後どうしていくのがベストなのか、私と蘭は医者である慶斗に相談し、病院で検査を受けることにした。
とりあえず最初にホルモン検査をすることになった蘭について来た私は、病院の待合室に腰掛ける。
妊娠出来ない理由を探して、問題があれば全て取り除きたいという蘭の申し出に、慶斗が対応してくれた。
一刻も早く妊娠したい。
可愛い顔立ちの彼は穏やかな印象だけれど、とても強い意志を持つ男性だった。
病院に隣接している特殊施設で働く慶斗が、待合室に顔を出してくれる。
夫の顔を見て、私の心細さは一気に吹き飛んだ。
(白衣姿の慶斗さん・・♡スタイルの良いイケメン医師・・・♡かっこいい・・・・!!)
彼は、手術着のような青緑色のシャツの上に、白衣を着用している。
自宅とは全く違う雰囲気の慶斗に、思わずボーッと見惚れてしまった。
「繭、蘭は検査中?」
「はい。検査中で、まだ少し時間がかかるみたいです。」
「そんなに不安な顔しないで。大丈夫だよ、簡単な検査だから。」
慶斗は私の隣に座ると、ぎゅっと手を握ってくれる。
「これで蘭君の悩みが、軽減すると良いんですけど・・・」
「蘭は真面目だからね。心配は早めに取り除いてあげたほうが、思い詰めなくて良いかもしれないよ。」
「そうですね。」
私の目を見て優しく笑っていた彼が、ふと真剣な顔になる。
「繭、俺の昔の同僚が代理出産してくれることになって、来週にでも紹介したいんだけど、良いかな。」
慶斗が静かな声で、そう言った。
彼は政府の特殊機関で、重要な仕事をしている。
子どもの出産について、「代理出産」を考えたいと以前言っていたことを思い出す。
「はい。大丈夫です。」
子どもが欲しいと、夫が願ってくれている。
今、共に子づくりに励んでいる夫たちの顔を思い浮かべると、幸せな気持ちになった。
蘭や耀亮、そして慶斗との子どもは、どんな顔だろう?
楓と桜雅のお腹に宿っている子どもたちの顔は?
これから家族がたくさん増えていく。
想像するだけで、胸がじんわりと温かくなる。
「良かった。俺たちの子どもに、早く会いたいな。」
白衣姿の慶斗が嬉しそうに微笑むのを、私はドキドキしながら見つめ返した。
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