【※R-18】私のイケメン夫たちが、毎晩寝かせてくれません。

『楓の妊娠』

「繭まゆさん・・・僕、妊娠しました。ここに、繭さんと僕の・・・赤ちゃんがいます。」

楓かえで君は、私の手を取ると、そっとお腹へと導いた。


「僕、すごく嬉しいです・・・・。」

涙目でにっこりと笑う彼の顔を見て、嬉しさが込み上げてきたけれど、実感が全然湧いてこない。



楓君と私の、子ども。
第一子。


初めての我が子は、私ではなく夫のお腹に宿っている。


「嬉しいよ。楓君・・・ありがとう。」


どんな子が生まれてくるのだろう？
全く想像がつかない。



朝から出かけていた彼が、慶斗けいとと一緒に帰宅したので、何かおかしいとは思っていた。
医師である慶斗が、楓の病院に付き添ったらしい。




♢♢♢



「マジかよ！？」

「やったな！楓！おめでとう～～！！」



楓が妊娠を報告すると、リビングルームにいた夫たちが、嬉しそうに声を上げた。

「安定期に入るまでは特に注意が必要だから、みんな協力してくれよ。」


「俺、楓の代わりに洗濯やるっす。」

「楓が出かける時は、俺が車で送り迎えしてやるわ。」


慶斗の呼びかけに、耀亮ようすけと桜雅おうがが手を挙げる。




「みなさん、ありがとうございます。」

夫たちは皆、楓の妊娠を喜んでいた。
家族が増える喜び。

その夜、私たち家族は温かい幸せに包まれていた。




♢♢♢



慶斗の部屋を訪ねると、彼はパソコンに向かっていた。
彼はいつも忙しそうだ。

医師としてだけではなく、政府の重要な仕事を任されているらしい。


「慶斗さん、病院について行ってくれたんですね。」

「楓が、まだ君には内緒にして欲しいって言うんでね。ぬか喜びさせるのが嫌だったみたいだよ。」

「そうだったんですか。」

楓の嬉しそうな顔が、何度も頭に浮かんで心を温かく灯してくれる。



「俺も、君との子どもが欲しいな。」

慶斗はパソコンを閉じると、ソファーに座る私の隣へ移動して来た。

手を優しく握られて、ドキンと胸が跳ねる。


（イケメン過ぎて・・二人きりだと緊張する・・・っ）



自分の夫だというのに、私はまだこの距離感に慣れない。




「でも慶斗さん、お仕事の関係で、すぐに子どもは無理なんですよね？」

今はどうしても抜けられない仕事を抱えていると、以前から聞いていた。


「代理で産んでもらう道もあるから、考えてみようかなと思ってね。」


「ん・・っ・・・慶斗、さん・・・？」

突然、口付けられて驚いた。



「楓がとても幸せそうだから、俺もかなりあてられてるな。」


私の額に優しくキスを落とす彼は、いつもと少し様子が違う。



夫の腕の中にすっぽりと抱きしめられたまま、私は彼の心臓の音を黙って聴いていた。