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『手ほどき』

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音弥おとや、俺が手ほどきしてやろうか。」

「で・・でも・・・りつさん・・・俺・・・恥ずかし・・・っ」

「家族なんだから、恥ずかしがることないだろ・・?」

「だ・・・だけど、マユたんがなんて言うか・・・」

まゆは許してくれるだろう。俺たちは2人とも夫なんだし。」

「一緒にエッチなんて・・・だって、3Pってこと・・・になっちゃうし・・・」


リビングで夫たちとテレビを見ていたら、キッチンからとんでもない会話が聞こえてきて、私は耳を疑った。


(夫2人がめくるめく夜の相談をしている・・・!?3P・・・?!)



「おいおい、そこ。聞こえてるっつーの。TVに集中できねぇだろ。なんの密談だ?」

「3P・・・?」

桜雅おうがが男らしく、なんの躊躇ちゅうちょもないツッコミを入れる。
耀亮ようすけが「3P」というワードに反応し、かえでがキョトンとした顔で振り返った。

「おい、耀亮。お前、楓の耳ふさいどけ。」
「お・・・おう・・・。」

珍しく犬猿の仲の2人が、協力している。
桜雅に言われるがままに、耀亮は楓の耳を塞いだ。

確かに純真無垢じゅんしんむくな楓には聞かせたくない内容だ。




キッチンで話していた律と音弥が、私たちのいるソファーの方へ歩いてきた。

「悪い、聞こえてたか。」

「ごごごごごめん・・・!!」

音弥は顔を真っ赤にして律の背後に隠れながら、こちらをうかがっている。



「お、俺が律さんに相談してたんだけど・・・ま、マユたんとの初夜について・・・!」

目をぎゅっとつぶってそう吐き出した音弥は、見かけによらずとても純粋な男だ。

ウルフヘアに八重歯がトレードマークの彼は、天才ギタリストとして名高い。少し悪びれた雰囲気の服装が多いためイメージが定着してしまっているが、彼自身は楓に引けを取らないほどの純粋ウブ男子なのだった。



「音弥が不安みたいだったから、ついお節介せっかいをな。」

律が苦笑する。
彼の優しさは表情ににじみ出ている。
精悍せいかんな顔つき、どこからどう見ても男らしさのかたまりのような男性だけど、その表情はいつも柔らかで安心感がある。

彼は本当に面倒見が良く、夫たちの間でも彼に相談を持ちかける者は多かった。
音弥は律を兄のように慕っており、一緒に過ごしているのをよく見かける。



「もちろん、繭が良ければっていう前提がクリア出来ればだけど。」

律の言葉に、夫たちが一斉いっせいに私を見た。



(そ・・・そんな目で・・・見られても・・・・)


「え・・・?あ、あの・・・・よろしくお願いします。」



「「マジで?!」」

桜雅と音弥の驚いた声が重なる。



耀亮に耳を塞がれたままの楓は、状況がまるで飲み込めず頭にはてなマークを浮かべたまま、キョロキョロとみんなの顔を見ていた。


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