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『初夜』
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「慶斗さん・・・不束者ですが、よろしくお願いいたします。」
「やめてくれよ。君はもう俺の妻なんだから、もっと楽にして。」
新婚初夜の相手は、医師の慶斗。
彼の声は独特のトーンで、耳にとても心地よい。
落ち着いた大人の男性の声。
彼の視線は知的でいつも冷静な色を浮かべているけれど、今夜私を抱く時にはどんな色に染まるのだろう。
私は男性経験が無い。
世界がこんなことになるまでは、結婚なんて一生できないかもしれないと半ば諦めていたくらいなのだ。
彼の部屋は綺麗に整頓されていて、物が少なかった。
私の夫たちはそれぞれ個人の部屋を持っていて、一つ一つがとても広い。
研究所で働いている彼は、ミステリアスな雰囲気が魅力的だ。人との間に一定の距離を置く人、というイメージがあった。自分の本心はあまり見せず、いつも涼しい顔。
もっと知りたい、と一歩踏み込みたくなる男性だ。
「繭は、この結婚生活についてどう思っているの?」
「・・・まだ信じられなくて・・・」
夫婦として、二人きりで話をするのは初めてだ。
いつも他の夫たちが周りにいるから、二人きりになると妙に緊張してしまう。
「俺たちとの間に子どもを持つことに関しては?」
「それは・・・嬉しいです。子どもは欲しいと思っていたので。」
「男性経験はある?」
そうだ。この人は医者だった。
まるで診察されているような言葉のやりとり。私はさらに緊張してしまった。
「・・・ないです。今夜が・・・初めてで・・・。」
彼は驚いたような顔をして、しばらく沈黙した。
(私が処女で・・・引いてるのかなあ・・・どうしよう・・・)
「そうか。嬉しいな・・俺が君の初めての男に、なるんだな。」
彼が今までのイメージとは違う顔で微笑んだので、ドキッとする。
(慶斗さん・・こんな顔するんだ・・・かっこいい・・・)
イケメンの素顔に触れた気がして、私は急にドキドキし始めた。
「君を妻に迎えることが出来て、とても嬉しいよ。」
「ありがとうございます・・・・。」
ソファーに向かい合って座っている彼が立ち上がり、ベッドに移動する。
「おいで。繭。」
彼は手を差し出した。
(ど・・・どうしよう・・・いきなりベッドに・・・なんて・・・)
恐る恐る近づくと、彼は優しく私の手を取りスマートな仕草で抱き寄せた。
「2人きりで、夫婦の時間を楽しもう。」
(王子様みたい・・・か・・・かっこいい・・・・)
大人の男性の色香に、クラクラと眩暈がする。
「繭、はじめようか。」
ふわりと優しく私を抱きしめながら、彼は耳元で甘く囁いた。
「やめてくれよ。君はもう俺の妻なんだから、もっと楽にして。」
新婚初夜の相手は、医師の慶斗。
彼の声は独特のトーンで、耳にとても心地よい。
落ち着いた大人の男性の声。
彼の視線は知的でいつも冷静な色を浮かべているけれど、今夜私を抱く時にはどんな色に染まるのだろう。
私は男性経験が無い。
世界がこんなことになるまでは、結婚なんて一生できないかもしれないと半ば諦めていたくらいなのだ。
彼の部屋は綺麗に整頓されていて、物が少なかった。
私の夫たちはそれぞれ個人の部屋を持っていて、一つ一つがとても広い。
研究所で働いている彼は、ミステリアスな雰囲気が魅力的だ。人との間に一定の距離を置く人、というイメージがあった。自分の本心はあまり見せず、いつも涼しい顔。
もっと知りたい、と一歩踏み込みたくなる男性だ。
「繭は、この結婚生活についてどう思っているの?」
「・・・まだ信じられなくて・・・」
夫婦として、二人きりで話をするのは初めてだ。
いつも他の夫たちが周りにいるから、二人きりになると妙に緊張してしまう。
「俺たちとの間に子どもを持つことに関しては?」
「それは・・・嬉しいです。子どもは欲しいと思っていたので。」
「男性経験はある?」
そうだ。この人は医者だった。
まるで診察されているような言葉のやりとり。私はさらに緊張してしまった。
「・・・ないです。今夜が・・・初めてで・・・。」
彼は驚いたような顔をして、しばらく沈黙した。
(私が処女で・・・引いてるのかなあ・・・どうしよう・・・)
「そうか。嬉しいな・・俺が君の初めての男に、なるんだな。」
彼が今までのイメージとは違う顔で微笑んだので、ドキッとする。
(慶斗さん・・こんな顔するんだ・・・かっこいい・・・)
イケメンの素顔に触れた気がして、私は急にドキドキし始めた。
「君を妻に迎えることが出来て、とても嬉しいよ。」
「ありがとうございます・・・・。」
ソファーに向かい合って座っている彼が立ち上がり、ベッドに移動する。
「おいで。繭。」
彼は手を差し出した。
(ど・・・どうしよう・・・いきなりベッドに・・・なんて・・・)
恐る恐る近づくと、彼は優しく私の手を取りスマートな仕草で抱き寄せた。
「2人きりで、夫婦の時間を楽しもう。」
(王子様みたい・・・か・・・かっこいい・・・・)
大人の男性の色香に、クラクラと眩暈がする。
「繭、はじめようか。」
ふわりと優しく私を抱きしめながら、彼は耳元で甘く囁いた。
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