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手術後のロッカールーム

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「おう、王寺。お疲れさん。」

手術が終わって、ロッカールームで着替えをしていたら、同僚の冴島さえじまが入室してきた。

「お疲れ様。手術終わったのか?」

「ああ。終わったよ。思ったより時間が掛かって大変だった。」

どんな時でも、彼の表情は変わらない。いつも淡々と仕事をこなしている。
大変だったという言葉とは裏腹に、疲れを一切感じさせない彼の顔。

同じ脳外科医の、冴島さえじま りょう
黒髪短髪、さっぱりとした喋り方で男っぽく、あまり感情が見えない男。

いつもかけている黒縁メガネは、伊達らしい。
以前聞いた時、「メガネが似合うからかけているだけ」と言っていた。

我が道を行くタイプ。
人に合わせることはせず、独自のルールで動く男。


医者には一定数こういうタイプがいる。
淡々としていて、何を考えているのかわからない男が。



「お前は、いつも淡々と仕事してるよな。」

「王寺もそう見えるけど?」

「俺はなんでも顔に出るからわかりやすいって、よく看護師に言われるよ。」

最近も、機嫌が良いと見破られたばかりだった。



「それはお前の良いところだろ。」

彼はくくくっと笑う。



「お前の白衣姿、最高にそそるよな。」

白衣をふわりと羽織った直後、冴島の言葉に驚いて振り返る。



「・・・はぁ?」

「本当だ。わかりやすい顔。」


ははは、と笑う彼に、俺はいじけたような気持ちになる。



「なんだよ・・っ・・揶揄からかうのはやめてくれ。」

彼の目が一瞬、真剣になったのがわかる。
手術中の彼の顔。真剣で厳しい、男の顔つき。



「からかってねぇけど?」

隣のロッカーをバタン、と閉めた彼が、俺のすぐ後ろに立つ。


「お前、良いケツしてるよな。肉厚で、ツッコミ甲斐がありそうだ。」

「な・・っ・・痛・・・ッ・・・!」


ぎゅうと握りつぶすように、俺の尻を掴む冴島。
俺は驚いて声が出ず、されるがままに身体が固まってしまった。



「何?お前、怖がってんの・・・・?動けねぇ・・?」

可愛いねぇ、と耳元で囁かれ、彼の吐息がかかる。



「あ・・っ・・・ッ」

背筋がゾクゾクする。
反射的に、エッチな声が出てしまった。


「へぇ。お前、そういう声で鳴くんだ?」

首筋を下から上まで、長く突き出した舌で舐め上げられる。



「ひっ・・・あ・・・ッ・・・」

俺は簡単に勃起してしまった。
最近の俺は、すぐにエロモードに突入してしまう。
かなり性的欲求不満は解消されているはずなのに。

頻繁に与えられる性的快楽を、いつでも求めてしまう身体になっていた。



「お前、すげぇ感じやすいんだな。」

彼はパッと、俺から手を離すと何事もなかったように、「お疲れ~」と言いながら、ロッカールームを出て行った。
部屋を出てすぐにすれ違った医師と、挨拶を交わす声が聞こえてくる。




(な・・・なんなんだ・・・一体・・・・!?)

俺は自分の身に起きたことが信じられず、その場に座り込んで頭を抱えてしまった。



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