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『幸せな朝』
しおりを挟む「繭さん、おはようございます。今朝は、あなたの好きなフレンチトーストにしましたよ。」
バターの香ばしく甘い香りに誘われてキッチンに行くと、馨君が完璧な朝食を用意してくれていた。淹れたてのコーヒーをテーブルに置くと、私の腰を優しく引き寄せて、甘いキスをくれる。
「お・・おはよう、馨君。馨君が作ってくれるフレンチトースト大好き。嬉しいな。」
「可愛い人ですね。ベッドに戻って、もう一度愛し合いましょうか。」
昨夜の馨君は、激しかった。
神矢さんに情事のあれこれが聞こえないかとハラハラしてしまうほどに。
先週引っ越してきた神谷さんの存在を、馨君はわかりやすく意識しまくっていた。
「繭、おはよう。」
「神矢さん、おはようございます。」
私と馨君が抱き合っていることは気にも止めず、神矢さんは私の頭を撫でる。
「相変わらず低血圧なんだろう?朝からあまり無理するな。」
彼の言葉に、馨君が目に見えてムッとした。
「あなたに言われなくても、恋人の僕がフォローしてますので、黙っていてもらえますか?」
「馨君、おはよう、朝からご機嫌斜めだな。何か心配事でもあるのか?」
神矢さんは冷蔵庫を開けてミルクを取り出しながら、馨君を軽く遇らう。
「はあ?あるわけないでしょう。」
「今日から数日、出張だったよな?繭のことは俺に任せて、君は仕事に集中してくれよ。」
「だから、余計なお世話なんだよ!どさくさに紛れて彼女を名前で呼ぶな、殺すぞ。」
「君がいない間に、彼女の魅力に負けてうっかり手を出しそうになった時は、事前に電話かメールで報告させてもらうよ。」
「昨夜の声、聞こえてなかったんですか?僕たちは愛し合っているんですよ。彼女は、心も身体も僕に夢中なので、お前の入る隙なんて一ミリもない。」
どちらも意地を張って余裕の笑みを崩さず、イケメンスマイルで言い合っている。
(朝からイケメン2人が私を取り合って喧嘩なんて・・・・おいしすぎる・・・♡)
「繭、今夜からしばらく2人きりだな。仕事で忙しい馨君の代わりに、俺が全力でお前を守るよ。」
雄のフェロモンだだ漏れの神矢さんは、直視できないほど眩しい。
「繭さん!こいつに嫌なことされそうになったら、このボタンを押してください。」
馨君は、小さなリモコン状の怪しいスイッチを私の手に握らせた。
「彼女の寝室は、俺が守るから安心してくれ。」
「お前が一番危険なんだよ、神矢亮一・・・!」
(何これ、天国・・・?!ハーレム・・・?!)
寝起きとは思えないほど、2人ともばっちり顔が決まっている。
私はイケメン2人に取り合いされる、最高に幸せな朝を過ごしていた。
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