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『一緒に暮らそう』
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「榛名が・・また彼女に接触しようとしているみたいなんだ。」
神矢さんが、深刻そうな声音でそう言った。
榛名というのは私の元恋人で、実は悪の組織の幹部だった男。
鈍感な私は彼の正体にまるで気付いていなかった上、きちんと別れる暇さえ与えてくれなかった彼に未練がある。
彼は長い綺麗な黒髪を首の後ろで結え、いつも黒いキャップを目深に被っていた。
9頭身のモデル体型で、どこにいてもよく目立つハンサムな男。
気だるそうな雰囲気と、重低音のハスキーボイス。
彼の瞳はどこか悲しい色を含んでいて、ミステリアスな魅力があった。
どこに住んでいるのか、どんな仕事をしているのか、家族はいるのか・・・
私は何一つ知らないまま、彼と共に3年以上もの月日を過ごした。
「だからって、なんでお前が一緒に暮らすって話になるんだよ。」
「馨君は仕事が忙しくて家を空けることが多いだろう?君の留守中に奴が彼女に接触してくるかもしれない。警護が必要だと思ってね。」
「彼女の安全は、恋人であるこの僕が守りますよ。だいたい奴が野放しになってるのは、警察が不甲斐ないからでしょう。」
「馨君が優秀なのは十分かっているさ。だが君には任務があるだろう。彼女と四六時中一緒にいられるわけじゃない。」
確かにそうだ。
彼は任務で1週間近く家を空けることもある。
(もしイケメン2人と一緒に暮らせたら・・・それってこの世の天国じゃない・・・・?!)
目の前のイケメン2人を見比べながら、私はめくるめく妄想の世界に身を投じた。
「それとも・・・俺が同じ家で暮らしていたら、彼女を取られるかもしれないと危惧しているのかな?」
「はぁ?!勘違いも甚だしい。お前の自意識過剰ぶりには、本当に驚かされるよ。」
馨君の額に、たくさんの怒りマークが見える。
神矢さんはなおも挑発するように、余裕の微笑みを浮かべながら一歩馨君に近づいた。
「怖いんじゃないのか?俺に彼女を奪われるのが。」
「そんなわけないでしょう。僕の魅力にゾッコンなんですよ彼女は。お前なんて最初から眼中にない。」
「じゃあ、彼女の安全のためを考えて、一緒に暮らそう。断る理由は何もないだろう。」
私の存在など忘れ、彼らは2人きりの世界でいつまでも言い争っていた。
神矢さんが、深刻そうな声音でそう言った。
榛名というのは私の元恋人で、実は悪の組織の幹部だった男。
鈍感な私は彼の正体にまるで気付いていなかった上、きちんと別れる暇さえ与えてくれなかった彼に未練がある。
彼は長い綺麗な黒髪を首の後ろで結え、いつも黒いキャップを目深に被っていた。
9頭身のモデル体型で、どこにいてもよく目立つハンサムな男。
気だるそうな雰囲気と、重低音のハスキーボイス。
彼の瞳はどこか悲しい色を含んでいて、ミステリアスな魅力があった。
どこに住んでいるのか、どんな仕事をしているのか、家族はいるのか・・・
私は何一つ知らないまま、彼と共に3年以上もの月日を過ごした。
「だからって、なんでお前が一緒に暮らすって話になるんだよ。」
「馨君は仕事が忙しくて家を空けることが多いだろう?君の留守中に奴が彼女に接触してくるかもしれない。警護が必要だと思ってね。」
「彼女の安全は、恋人であるこの僕が守りますよ。だいたい奴が野放しになってるのは、警察が不甲斐ないからでしょう。」
「馨君が優秀なのは十分かっているさ。だが君には任務があるだろう。彼女と四六時中一緒にいられるわけじゃない。」
確かにそうだ。
彼は任務で1週間近く家を空けることもある。
(もしイケメン2人と一緒に暮らせたら・・・それってこの世の天国じゃない・・・・?!)
目の前のイケメン2人を見比べながら、私はめくるめく妄想の世界に身を投じた。
「それとも・・・俺が同じ家で暮らしていたら、彼女を取られるかもしれないと危惧しているのかな?」
「はぁ?!勘違いも甚だしい。お前の自意識過剰ぶりには、本当に驚かされるよ。」
馨君の額に、たくさんの怒りマークが見える。
神矢さんはなおも挑発するように、余裕の微笑みを浮かべながら一歩馨君に近づいた。
「怖いんじゃないのか?俺に彼女を奪われるのが。」
「そんなわけないでしょう。僕の魅力にゾッコンなんですよ彼女は。お前なんて最初から眼中にない。」
「じゃあ、彼女の安全のためを考えて、一緒に暮らそう。断る理由は何もないだろう。」
私の存在など忘れ、彼らは2人きりの世界でいつまでも言い争っていた。
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