31 / 44
♡『思わせぶり』(SIDE 湊 京)
しおりを挟む~~~~登場人物~~~~
♡湊 京(みなと けい) 41歳
愛治医療センターの優秀な心臓外科医。
肩まで伸ばしたロン毛のイケメン。青光りする黒髪。
医者とは思えないチャラチャラした軽い雰囲気。いい加減で荒っぽい喋り方。
人を小馬鹿にした話し方をする。
患者に対しては、優しく紳士的。
♡角 静(すみ しずか) 34歳 整形外科医
ベージュ色のサラサラヘア。腰までの長髪を後ろで一つに纏めている。
女性のようにきめ細かい白肌、繊細で綺麗な顔立ち。細身の高身長。
若き天才心臓外科医として脚光を浴びていた。
道原院長に見染められしつこいアタックの末、引き抜かれ整形外科医として勤務している。
いつまでも妻と別れない道原に嫌気がさしている。
普段は敬語で穏やかに話すが、本性は毒舌で攻撃性がある超ドS男。
♡樽馬 嶺(たるま れい)39歳
愛治医療センターの心臓外科医。銀髪。切れ長の瞳。インテリメガネ。
長身でモデルのようにすらりと長い手足。
知的、クールで無口なキャラで一見とっつきにくそうだが、中身は熱い。
先輩の湊にいつもいじられている。湊には頭が上がらない。学生時代から一途に湊を想い続けている。
♡剛谷 猛(ごうたに たける)34歳
がっしりとした190センチの大きな体。
背中が広く、胸板が厚い。筋肉質の体格に恵まれた大男。
消化器外科医。男気に溢れ、面倒見が良い。
看護師の恋人がいるが、指導医だった湊との間に割り切れない想いを抱えている。
~~~~~~~~~~~
『思わせぶり』 (SIDE 湊 京)
「静、お前あいつになんか言っただろ。」
「さすが湊先生。敵わないですね。」
久々に後輩と食事だというのに、俺はイライラして落ち着かなかった。
夜景を見下ろしながら優雅にワイングラスを傾ける色男、角 静は後輩医師だ。
数年前、彼が突然整形外科に引き抜かれた時は驚いたが、俺の読み通り近々心臓外科に戻ってくるらしい。
仕事のできる男だが、性格にはかなり難がある。
先日学会で静と会って以来、樽の様子がずっとおかしかった。
「あいつのことあんま虐めんな。真面目なんだよ、樽は。」
特別扱いしているという自覚はある。
樽は手術のパートナーで、気の置けない後輩で、一番長い時間を過ごす友人だ。
少なくとも俺はそう思っていた。
「虐めるなんて人聞き悪いですね。まぁでも確かに・・・彼の気を引きたくて余計なことを言ったのは認めます。」
「お前、昔から樽のこと気に入ってるよな。」
「気付いてましたか?樽馬先生、タイプなんですよ。繊細で真面目で・・・虐め甲斐がある。」
「やっぱ虐めてんじゃねぇか。」
「顔も好みなんです。彼・・いいですよね。」
妙なフェロモンを振り撒きながら、意味ありげに微笑む。
これはこの男の天性の才能だ。
彼のフェロモンは相手が女だろうが男だろうが、誰でも虜にしてしまう。
「お前の趣味は、一貫性がなくて驚くよ。」
「湊さんは、どうです?」
「どうって何がだよ。信頼してるぜ、あいつのことは。」
「剛谷先生は?どっちの方が可能性あるのか、ずっと気になってたんですよね。」
ワインをごくりと喉へ通すその仕草が妙にセクシーで、見てはいけないものを見ているような罪悪感が芽生えた。
「酔って絡むのは辞めろ。」
「この程度のワインで酔えたら、幸せなんですけどね。」
「なぁ静、心臓外科に戻るって話、本気なのかよ。」
「戻ったら、あなたのパートナーにしてもらえます?」
「考えとく。お前と俺じゃ、合わないだろうな。」
「私も、そう思います。」
自信ありげで生意気な態度も、静がやると様になる。
こいつなら仕方ないと思わせる能力が、彼にはあった。
「お前のそういう思わせぶりなところ、嫌いじゃねぇよ。」
「私より湊先生、あなたの方がよっぽど思わせぶりじゃないですか。」
ーーー思わせぶり。
確かに、そうなのかもしれない。物欲しそうに俺を見つめる樽の視線を思い出す。
気づかないふりをして、もうどれくらい時が流れただろう。
「樽馬先生と私が寝たら、怒りますか?」
別れ際、静が冗談なのか本気なのかわからない声色でそう言った。
サラサラの艶髪を耳にかける仕草が、妙に色っぽい。
素面の俺には響かないが、酔った欲求不満の男であればグッとくるだろう。
「勝手にしろよ。」
そう言った瞬間、俺の向こう側を見つめる静の視線に胸がざわついた。
この男は物事や人間関係がもつれていくのを見るのが好きな変わり者だったと思い出す。
振り返ると、彼の視線の先に、樽が立っていた。
ひどく傷ついた顔をして。
「おい、樽!」
早歩きで立ち去る後ろ姿に、舌打ちする。
「静、お前な・・・」
「そろそろ答えを出したらどうです?望みがないなら振ってあげるのが優しさだと、私は思いますけど。」
「ご忠告どうも。」
どんなふうにアプローチしたとしても、樽が静に靡くなんてありえない。
あいつが好きなのは、俺だ。
わかっているのに知らないふりを決め込むのは、確かに残酷なのかもしれない。
はぁ、と大きく諦めのため息を吐き出して、俺は樽の背中を追った。
10
お気に入りに追加
20
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
【連載再開】絶対支配×快楽耐性ゼロすぎる受けの短編集
あかさたな!
BL
※全話おとな向けな内容です。
こちらの短編集は
絶対支配な攻めが、
快楽耐性ゼロな受けと楽しい一晩を過ごす
1話完結のハッピーエンドなお話の詰め合わせです。
不定期更新ですが、
1話ごと読切なので、サクッと楽しめるように作っていくつもりです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
書きかけの長編が止まってますが、
短編集から久々に、肩慣らししていく予定です。
よろしくお願いします!
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる