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ヴァイス

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「会いたくて、頭がおかしくなりそうだった・・・愛してる。」

(えっ?!・・あ、愛してる・・・?)

長年付き合った彼氏にさえ言われたことのないセリフを、初対面の王子にさらりと言われ、動揺する。


彼が急に顔を寄せたので、キスされるのかと思った。


「あの日、ゲートでアンタを見て一目でわかった。早く2人きりになりたい。」

イケメンのキスを避けるわけもなく目をぎゅっと瞑った私は、甘い耳打ちに驚いて彼を見る。
ゲートをくぐったあの日、ヴァイスと共にいたイケメンは、アダムだったのかと今更気付いた。

視線が交わった瞬間、彼の体がぐらりと大きく傾く。


「おい・・!大丈夫かよ・・・!?」

すかさず大きな手のひらが、私と王子の間に差し出され、ふらついた身体を支える。


「ヴァイス・・・!?」

思わず口にしてしまった。一目惚れした男の名前を。
私の目の前に、ヴァイスが立っていた。


「どうして・・・俺の名を?」

眉間に皺を寄せた彼は、不審そうに私を見つめている。
初対面の「世界を救う女」に、突然自分の名を呼ばれたらさぞ気味が悪いだろう。

そんなことはお構いなしで、私は彼を食い入るように見つめていた。

まるで映画のワンシーンのようだ。全てが完璧な彼の表情、立ち振る舞い。
スラリと手足が長く抜群のスタイル、綺麗な黒髪、精悍な顔立ち。

目が離せない。

彼の視界に私が入っている。
その事実だけで、倒れてしまいそうなほど私は舞い上がっている。


「えっと・・・それは・・・・」

「俺が教えたんだよ。ヴァイス。久しぶりだな。」

私の付き添いで一緒に来てくれたアーサーが、ヴァイスと対峙した。


「誰かと思えば・・・アーサー、お前か。」

ヴァイスとアーサー。2人は仲が良いのだろうか。

(関係性が全然わかんない・・・相関図欲しい・・・!イケメンだらけの相関図・・・!)


見つめ合う2人のイケメンに視線を送っていると、アーサーがこちらを見て苦笑する。

「俺は元々、こちら側の人間なんだよ。」


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