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ヤンデレ
しおりを挟むエイダ、アーサーと共に、深淵の森へ行く。
「深淵の森へつながるゲート、出来たよぉ。」
甘ったるく語尾を伸ばしてニコッと笑ったモモンガのノアに、思わず見惚れてしまった。
場所と場所をつなぐゲートを開く能力。
「これが・・・ノアの能力・・・?すごい・・・」
宙に両手を伸ばし、空間を撫でるように手のひらを動かした瞬間、地面から大きなゲートがニョキニョキ生えてきた。目を開けているのが辛いほど、強烈な光を放つ巨大なゲート。
獣人たちも人間も、この世界では皆それぞれ特殊な能力を持つ。
「帰ってきたら、いっぱいイイコトしようねぇ。」
ノアの甘い耳打ち。
私は色々な意味でドキドキしながら、ゲートをくぐり抜けた。
♢♢♢
ヴィランの王子、アダムという男は、青白い肌をした印象的な人物だった。
艶々の黒髪に、青のインナーカラー。
右の目の下にある泣きぼくろが、妙に色っぽい。
物悲しさや寂しさが滲んで見える意味深な瞳でじっと見つめられると、体がすくんで動けなくなる。
「やっと会えた・・・俺の運命の・・・お姫様・・・。」
熱があるせいだろうか。
頬を赤く染め、ハァハァと息を荒げている。
私の両手をとると、恍惚の表情を浮かべ涙を流した。
「二度と離さないよ・・・俺のお姫様・・・」
病的な熱い視線に、ぞくりと背筋が震える。
全てのパーツが整っていて美しい彼の顔を見つめながら、金縛りにあったように私はその場に立ち尽くしていた。
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