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世界の終わり
しおりを挟むメルヘンな森の、メルヘンなお城で暮らす、獣人たち。
テーマパークの可愛いキャラクターたちは、揃いも揃って全員がイケメンだった。
天然不思議ちゃん系のノアは、語尾を可愛く伸ばして喋る、甘えっ子のモモンガ。
「穂花は俺たちの、お姫様なんだね~。すっごく可愛いねぇ。」
(何この子っ?!天然の人タラシ・・・!?か、可愛いって私のこと・・!?)
ふわりとした髪は、綺麗な水色をしている。
少し長めの前髪が目にかかるのか、気にして触っている仕草があざと可愛い。
可愛い本物のケモ耳があるというのに、彼が着用しているモコモコしたパーカーのフードにはウサギの耳がついている。あざと可愛過ぎる。
目が合うと、とろけるように破顔する。
甘いタレ目で見つめられると、なんでもしてあげたくなるような、母性本能をくすぐるタイプだ。
「眠いから、あとでいい・・・?」
今にも閉じてしまいそうな目をこすりながら、大きなクッションの上で身を丸めているのはノエル。
眠気最優先、興味のないことはスルーという、いかにも猫らしい気質の猫だった。
綿あめのようにふわふわしたホワイトの髪、特徴的な縞模様の綺麗な尻尾。
「俺、ず~っとお姫様に会うの楽しみにしてたから、穂花が来てくれて超~嬉しいっ!!」
元気いっぱいで単純明快な性格、ムードメーカのオコジョ、テディ。
オン眉が似合う可愛い顔立ち、表情がくるくる変わって目が離せない。
誰とでもすぐ仲良くなれる、人懐っこい性格の弟キャラだ。
「あの・・・お姫様っていうのは、どういう意味なの・・?」
皆が当たり前のように、私のことを「お姫様」と呼ぶ。
イケメンたちに囲まれお姫様扱いされる快感に酔いしれながも、その訳を知りたかった。
「この世界は今、滅亡の危機なんだ。」
アーサーは、深刻そうな雰囲気を纏いながら、話し始める。
「世界の終わりが始まると、救世主が現れると預言の書に書かれていて、それが穂花・・・君ってわけ。」
「私?!救世主?!」
あまりにざっくりとした説明に、思考がついていかない。
でもまさに、これこそが私の望んでいる世界に思えた。
ゲートをくぐり抜けて異世界に来たら、私は救世主。イケメンに崇められる存在になっていた。
そんな美味しい話、逃すわけにはいかない。
「これは穂花にしかできないことなんだよ。この世界を救ってほしい。」
真剣な彼の顔に、私は内心浮かれながら、神妙な顔つきで頷いた。
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