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不都合な関係
しおりを挟む「ん・・浅葱・・・」
「真美・・・好き・・・」
生まれて初めて出来た「年下の恋人」、浅葱との生活が刺激的過ぎて私は翻弄されていた。
今まで付き合った男は皆、年上か同い年。
年下なんて恋愛対象にならないと思っていたのに。
「んんっぅ・・・」
ディープキスを覚えたばかりの浅葱は、何度も深く情熱的に舌を絡める。
「浅葱・・・ダメ・・・もう、御影が帰ってきちゃう・・・」
御影が帰宅するまでが、私たちのラブラブタイムだ。
キス以上のことは、まだ経験していない。
ディープキスだけじゃもう満足できないと、彼の表情から見て取れる。
私も同じ気持ちだった。
「御影にいつまで内緒にすんの?・・・俺たちのこと。」
私の頭を優しく撫でる浅葱の顔が、いつの間にかとても大人びていて焦ってしまう。
恥ずかしがり屋で可愛かった彼が、まるで見知らぬ男のような表情を見せるので油断ならない。
年下のイケメン彼氏が出来たことに、浮かれている場合じゃないのだ。
私は彼の兄である御影とも肉体関係を持ったことがあるのだから。
その事実を浅葱にどのタイミングで伝えるべきかが、今の私の最大の悩みだった。
いずれ御影にも、私たちが恋人同士になったことを伝えなければならない。
「御影と・・・なんかあんの?」
「え・・・?」
「御影が真美の部屋に行くこと時々あったじゃん。洗面所でイチャついてたこともあったし・・・二人は・・・付き合ってんのかなってちょっと心配した。」
(か・・・・可愛い~~~~♡って・・・言ってる場合じゃないんだよね・・・)
頬を赤らめいじけたように俯く浅葱に、全力でときめいた自分を戒める。
「付き合ってはいないけれど、肉体関係だけは持ちました」、なんて言ったら彼はどう反応するだろうか。
『お前ら・・・大人って不潔だ・・・!!信じらんねぇ・・!もう別れる・・・!!』
最悪な状況が頭に浮かぶ。慌てて打ち消した。
「・・・なんかあんの?」
何と答えようかモタモタして黙り込んだ私の顔を、不安げに覗き込む浅葱の顔。
「な・・何もないよ・・!?あるわけないじゃん・・・?!」
(嘘ついてど~すんのよ、もう~~!!私のバカ・・・っ!!)
純粋で真っ直ぐな彼の愛情に触れるたび、この関係を崩したくない気持ちが膨らんでいく。
「ただいま、・・・二人とも、何してんの?」
いつの間にか帰宅した御影が、ネクタイを緩めながらリビングに入ってきた。
「み、御影・・!おかえり!今日早かったんだね~・・!!」
慌てて浅葱から離れ立ち上がる私は、明らかに挙動不審だ。
浅葱が不貞腐れたような顔で、私を見る。
恋人同士になった事実を御影に伝えたくないのは、どうしてだろう。
二人のイケメンを交互に見つめながら、自問自答する。
(御影と寝たことを、浅葱にバラされるのが怖いから・・・?それとも・・・浅葱と恋人同士になったことを、御影に知られるのが嫌だから・・・・?)
双方に真実を伝えることが出来ず、私はどんどん追い詰められていった。
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