上 下
23 / 26

不都合な関係

しおりを挟む

「ん・・浅葱あさぎ・・・」

真美まみ・・・好き・・・」

生まれて初めて出来た「年下の恋人」、浅葱との生活が刺激的過ぎて私は翻弄されていた。
今まで付き合った男は皆、年上か同い年。

年下なんて恋愛対象にならないと思っていたのに。

「んんっぅ・・・」

ディープキスを覚えたばかりの浅葱は、何度も深く情熱的に舌を絡める。

「浅葱・・・ダメ・・・もう、御影みかげが帰ってきちゃう・・・」

御影が帰宅するまでが、私たちのラブラブタイムだ。

キス以上のことは、まだ経験していない。
ディープキスだけじゃもう満足できないと、彼の表情から見て取れる。

私も同じ気持ちだった。


「御影にいつまで内緒にすんの?・・・俺たちのこと。」

私の頭を優しく撫でる浅葱の顔が、いつの間にかとても大人びていて焦ってしまう。
恥ずかしがり屋で可愛かった彼が、まるで見知らぬ男のような表情を見せるので油断ならない。

年下のイケメン彼氏が出来たことに、浮かれている場合じゃないのだ。
私は彼の兄である御影とも肉体関係を持ったことがあるのだから。

その事実を浅葱にどのタイミングで伝えるべきかが、今の私の最大の悩みだった。
いずれ御影にも、私たちが恋人同士になったことを伝えなければならない。

「御影と・・・なんかあんの?」

「え・・・?」

「御影が真美の部屋に行くこと時々あったじゃん。洗面所でイチャついてたこともあったし・・・二人は・・・付き合ってんのかなってちょっと心配した。」

(か・・・・可愛い~~~~♡って・・・言ってる場合じゃないんだよね・・・)

頬を赤らめいじけたように俯く浅葱に、全力でときめいた自分をいましめる。


「付き合ってはいないけれど、肉体関係だけは持ちました」、なんて言ったら彼はどう反応するだろうか。


『お前ら・・・大人って不潔だ・・・!!信じらんねぇ・・!もう別れる・・・!!』

最悪な状況が頭に浮かぶ。慌てて打ち消した。


「・・・なんかあんの?」

何と答えようかモタモタして黙り込んだ私の顔を、不安げに覗き込む浅葱の顔。


「な・・何もないよ・・!?あるわけないじゃん・・・?!」

(嘘ついてど~すんのよ、もう~~!!私のバカ・・・っ!!)


純粋で真っ直ぐな彼の愛情に触れるたび、この関係を崩したくない気持ちが膨らんでいく。



「ただいま、・・・二人とも、何してんの?」

いつの間にか帰宅した御影が、ネクタイを緩めながらリビングに入ってきた。


「み、御影・・!おかえり!今日早かったんだね~・・!!」

慌てて浅葱から離れ立ち上がる私は、明らかに挙動不審だ。
浅葱が不貞腐れたような顔で、私を見る。


恋人同士になった事実を御影に伝えたくないのは、どうしてだろう。
二人のイケメンを交互に見つめながら、自問自答する。

(御影と寝たことを、浅葱にバラされるのが怖いから・・・?それとも・・・浅葱と恋人同士になったことを、御影に知られるのが嫌だから・・・・?)

双方に真実を伝えることが出来ず、私はどんどん追い詰められていった。



しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

迷い子の月下美人

BL / 連載中 24h.ポイント:2,385pt お気に入り:7,401

所詮、愛を教えられない女ですから

恋愛 / 完結 24h.ポイント:165,750pt お気に入り:3,980

【R18】30歳、タイムループ始めました。

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:21pt お気に入り:15

どうぞ不倫してください

恋愛 / 完結 24h.ポイント:43,281pt お気に入り:527

ヤンキーに路地裏で捕まり、ハメられました

BL / 完結 24h.ポイント:7pt お気に入り:2

バースデーソング

BL / 完結 24h.ポイント:28pt お気に入り:171

同期の姫は、あなどれない

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:824pt お気に入り:27

処理中です...