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ラブシーン
しおりを挟む浅葱と一緒にドラマを見ていて、ラブシーンが流れるとひどく気まずい。
「あっ・・・ん・・」
近頃のドラマは、官能的で困る。
女優さんもこんな大胆なシーン断ればいいのに、と余計なお世話だろうが思わずにはいられない。
ベッドで男の上に乗り、腰を振る綺麗な女性。
男性に大人気の、若手女優だ。
「こんなにセクシーで綺麗な女性がいたら、みんな好きになっちゃうよね。」
「お前の方が、ずっと可愛い。」
ラブシーンの気まずさを少しでも緩和しようと口を開いたら、浅葱がしれっとそう言った。
赤面だけでは済まないセリフを、最近の彼は普通に言う。
「私の身体なんて、ムッチムチだよ?お腹はぽよぽよだし、浅葱が見たらきっと幻滅するよ。」
「しねぇし。」
「くびれもないし、胸も小さいし・・!」
「関係ねえじゃん。」
「またまたぁ、年頃の男子なんだから、ボンキュッボンが一番でしょう。」
いつの時代の言い回しだ、と内心自分でツッコミを入れながらも、勢いづいてしまって止められない。
「俺は、お前の身体が目当てじゃねぇから。」
(い、今・・・すごいことを言われた気がする・・・それって私の身体じゃなくて、中身が好きってこと・・!?え・・?深読みしすぎ・・?)
急激に血圧が上がって、顔が熱くなる。
年下相手に、面白いくらいに振り回されている自分が情けない。
浅葱のことを男として意識してしまう瞬間が多すぎて、最近の私は混乱してばかりだった。
少し前まで余裕なく赤面するのは、いつだって浅葱の方だったはずなのに。
「私の身体に、興味ないの?」
悔しくて挑発的なことを言ってみるけれど、すぐに後悔。
「お前のことは全部、好き。全部、興味ある。」
じっと真剣な瞳で見つめてくる彼は、以前までの可愛らしさはどこへやら。
見知らぬ男の顔をしていた。
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