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イケメン兄弟

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私の名前は、真美まみ
フリーのライターで生計を立てている。

同棲していた彼氏に新しい女が出来て、家から身一つで追い出されてしまった。
フラれた悲しさよりも、住むところが無い不安の方がまさっている。

実家に帰ろうにも、女手一つで私を育ててくれた母は再婚して、若い夫と暮らし始めたばかり。
居場所の無い私に、救いの手を差し伸べてくれたのは、2人の幼馴染だった。



御影みかげと、浅葱あさぎ
彼らは私の幼馴染で、血のつながらない兄弟。

再婚した親同士の連れ子で、年齢は29歳と18歳と離れているけれど、本当の兄弟以上に仲が良かった。


兄の御影みかげは、「高身長、高学歴、高収入」と三拍子揃ったイケメン。某有名大企業に勤めるエリート。
切長の瞳、サラッサラの茶髪、知的さと優秀さが滲み出ている整った顔立ち。エリートっぽさを強調するような、細縁のインテリメガネをかけている。スーツ姿はまさに、無敵のイケメン。

あまり表情が豊かではないけれど、人をからかうのが好きな可愛い一面を持っている。
小さい頃から知っているし、今は一緒に暮らしているのに、私は未だに彼のことがよくわからない。
ミステリアスな雰囲気を纏った、つかみどころのない男。


弟の浅葱あさぎは、今時の高校生という印象。
肩まで伸ばしたストレートの黒髪を、今っぽくアレンジしている。
おしゃれとは程遠い万年Tシャツ&ジーンズ干物女の私が理解できるはずもないけれど、とにかく今時の若い子というこなれた容姿をしている。
白い肌と、黒髪のコントラストが美しい。少し冷めた気だるそうな雰囲気を身に纏っているけれど、中身はとても純粋で可愛い、素直な良い子だ。

二人は仲が良く、兄の御影が実家を出るタイミングで、弟の浅葱も家を出て一緒に暮らし始めた。



「男と暮らすって出て行ったきり帰ってこないって、おばさん心配してたけど・・やっぱりフラれたか。」

「余計なお世話。どうせ私は男運無いですよ。」

「随分卑屈ひくつだなぁ、お前は男の趣味が悪いだけだよ。目の前にこんな色男がいるのに、30年近くスルーしてる。」

ポンポン、と頭を撫でてくる御影は、いつも冗談なのか本気なのかわからない。
幼馴染と恋愛関係になるなんて、ベタだし面倒すぎて私はこの男を恋愛の対象にしないようにと必死で目をらして生きてきた。

弱っている時は、さらに彼が眩しく見える。



「なぁ、ピザ届いたけど、まだやってんの?」

キッチンにいる私と御影に、リビングで夕食の開始を待っている浅葱が声を上げる。


「はいはい。お待たせ。成長期の浅葱にジャンクフードなんて本当は食べさせたくないんだけど。」

野菜スティックと、茹で野菜をテーブルに並べながら御影は兄の顔を見せる。浅葱はいかにも思春期らしい可愛い反応をした。

「ガキ扱いすんな!つか、全然食わせてくれねーじゃん。ピザなんてもう、半年ぶりくらいじゃね?」


御影は、料理まで出来るハイスペック男子。
成長期の浅葱のために、毎晩きちんと夕食を用意しているらしい。

今夜は私の歓迎会ということで、何故か浅葱リクエストのピザを注文していた。



(なんで浅葱のリクエスト・・・普通私のリクエストじゃない・・??まぁ、ピザは好きだけど・・。)

御影は目に入れても痛くないというくらい、浅葱を可愛がっている。



「じゃあ、俺たちの新しい生活に、乾杯。」

私はこうしてイケメン兄弟と、一つ屋根の下で暮らし始めた。


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