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好戦的な男 (SIDE 秦野)
しおりを挟む秘密警察のレオンは、いつも俺たちの邪魔をしてくる、好戦的な要注意人物だ。
俺がナオミに接触していることに気付いて、彼はふらりと俺の前に現れた。
「これはこれは秦野 浩一さん。僕の彼女に横から手を出すなんて、相変わらず悪趣味だ。」
「声が大きい。君はどうして・・いつも俺の邪魔ばかりするんだ。」
隣の部屋には彼女がいる。
この話を聞かれては今までの苦労が水の泡だ。
彼女の部屋から戻ると、彼は俺の部屋にすでに侵入し、ベッドの上に座り込んでいた。
綺麗な顔立ちをしている。
月明かりに照らされた彼の顔は、女なら誰でも見惚れるだろう。
こんな優男が、と会うたびに毎回思う。
一見ただのハンサムにしか見えない彼の、身体能力や知性のレベルの高さには、国際警察も舌を巻くほどだった。
「彼女にはね、僕の方が先に目をつけていたんですよ。」
「たまたま潜入していた、カフェの常連だっただけだろう。」
レオンの余裕の笑みが崩れる。図星なのだ。
きれいな顔が憎しみに歪むのを、今まで一体何度見てきただろう。
この国の秘密警察と、国際警察は、仲が悪い。
組織というのは往々にしてそういうものだが、彼は俺個人のことを特別嫌っているようだった。
「秦野、」
彼の目に闘志が灯るのがわかる。彼は本当に好戦的な人物なのだ。
その上、二面性がある。
「俺の女に手を出すな。今日はそれだけ言いに来たんですよ。」
「俺たちの目的は同じだろう。ノアを逮捕する。どうして邪魔し合う必要がある?」
「俺はお前が大嫌いだ。覚えておけ。」
彼はそう言い残すと、扉を開けて出て行った。
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