【※R-18】Doctors!

『失望』（SIDE 鮎原 恵巳）

～～登場人物～～

♡鮎原　恵巳（あゆはら　めぐみ）２９歳

病理検査技師。皮膚科の白河をセンパイと呼び慕う。恋人同士。
日焼けした肌、分厚い二重瞼。エキゾチックな雰囲気の男。
深い茶色の髪色。
淡々と喋り、ポーカーフェイス。


#x2661;白河 傑（しらかわ　すぐる）３３歳

皮膚科医。サラサラの黒髪。黒縁メガネ。
日常会話はほとんどしないが、仕事の話となると饒舌。
生検好き。
病理検査技師の鮎原と恋人同士で、皮膚科にいないときは病理検査室にいる。
朝萩は浮気相手。

♡一ノ瀬 葉月（いちのせ はづき）

短髪、黒縁メガネの色男。若くして消化器外科のトップに君臨した天才医師。
背が高くがっしりとした肩幅、筋肉質でとてもイイ身体をしている。
大雑把で細かいことは気にしない性格、どんな場面でも動じず頼りになる色男だが、性に関しては倫理観がまるで無い。
口説き上手で遊び人。


♡朝萩 千秋（あさはぎ　ちあき）３３歳

消化器外科医。
サラサラのロングヘア 。後ろ姿は女性に見えるのでよく間違われる。
女性のような可愛らしい顔立ち。
同期の皮膚科医、白河と身体の関係を持っている。

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俺は一体何を期待していたんだろう。
先輩は、俺を好きなわけじゃない。

自分が手がけた手術痕に、愛着を抱いていただけなのに。

『減るもんでもないだろう。妊娠するわけでもないし。』

彼の本心だとわかっているから、俺はそれ以上何もいうことが出来なかった。
そういう人だとわかっていたし、それで良いと納得していたのに・・・女々しい自分が嫌になる。

彼に失望するのはお門違いだ。

自分から懇願して始まった関係。
愛されなくてもいい。ただ彼の一番そばにいたかった。

それでいいと思っていたのに。


♢♢♢


「おう。どうした？まだ帰らねぇのか？」

あの夜以来、先輩と顔を合わせたくなくて、俺はここ数日ずっと逃げ回っている。

一ノ瀬いちのせ先生は、毎日のように病理検査室にやって来た。

「今日は火曜だろ？」

白河はどうした、と暗に聞いているのだ。
一ノ瀬いちのせ 葉月はづきという男は、本当に頭が良くていやらしい。

俺と先輩がギクシャクしていることなんて、お見通しなんだろう。

「白河先生は、俺のものじゃないんで。」

「あ？お前のもんだろ。朝萩あさはぎに逆転されたか？」

「アンタには・・・関係ない・・・ッ」

図星とまではいかなくても、ずっと不安に思っていたことを言葉にされて腹が立つ。
ぎゅっと胸が苦しくなって、一気に感情が掻き乱される。

「なんだよ、泣いてんのか？」

「やめ・・っ・・・んんっ・・・・」

突然、噛み付くような乱暴なキス。

一ノ瀬先生はプレイボーイとして院内でも有名だ。
職場の人間に突然キスするなんて、自信があるにも程がある。

さすが百戦錬磨の色男。キスが上手い。

「ん・・ぅ・・・あ・・・」

この男を好きでも無いのに、身体が疼く。
キスだけで相手をその気にさせる能力が、彼にはあった。

「俺の部屋に来いよ。時間潰しにはなるだろ。」

自信満々の彼の一言に、俺は黙って頷いた。