【※R-18】Doctors!

『愛される人間』（SIDE 瀬戸 光一）

～～～～登場人物～～～～

♡瀬戸 光一（せと　こういち）３８歳

救命救急医。激務で徹夜続きでも涼しい顔で働く体力の鬼。
肌艶がよく、いつもキラキラしているイケメン医師。
茶髪。真ん中分けのウェーブヘア。
内科医の丹念とは同期で、いつも嫌味を言い合う仲。
他の人には分け隔てなく優しいが、丹念にだけは違う態度。
丹念に長年の片思いをしており、拗らせている。


♡丹念 愛（たんねん　まなぶ）　３８歳

消化器内科の医師。
内視鏡を得意とする、内視鏡指導医。
１９０センチの長身。肩幅が広く男らしい肉体の持ち主。検査に入ることが多いので、白衣ではなくスクラブを着用。黒のロングヘアで、後ろ手に一本に結えている。
同棲している恋人の野池にだけは、仕事では厳しい。瀬戸とは因縁の仲。


♡野池　智彌（のいけ　ともや）　３１歳

消化器内科の医師。
内視鏡マニア。丹念医師の内視鏡技術に惚れ込み、自身も何度も検査を受けている。
丹念医師のことが大好き。内視鏡の腕にも、男としても惚れ込んでいる。
黒髪短髪、元野球部のノリを今でも引きずっている。


♡渡辺 巽（わたなべ たつみ）　２７歳

新米の救命救急医。
父親の命を救ってくれた瀬戸に想いを寄せている。
熱血で、一生懸命。単純、素直で先輩たちから可愛がられている。
黒髪、目の下の泣きぼくろがチャームポイント。体力には自信がある。


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「俺も、愛まなぶが好きなんだ。」

謝罪した俺をまっすぐな瞳で見つめて、智彌ともやは立ち尽くしていた。

「愛さんから、聞きました。」

悲しみも、苦しさも感じられない彼の瞳。
人を疑うことを知らず、憎しむ対象を持たない彼を、心底綺麗だと思った。

俺は智彌に敵わない。
それが分かっているからこそ、俺は愛を無理矢理抱いたのだ。


♢♢♢


「瀬戸先生ってモテますよね。新人看護師の中で可愛いって話題の子が、瀬戸先生のこと好きだって言ってるの・・・俺聞いちゃって。」

部下の巽たつみは、可愛い。

「俺もその子の気持ちめちゃくちゃわかります。瀬戸先生のことを好きにならない人なんて、この世界のどこにも絶対いないです。」

一生懸命で、純粋。
俺が返事をしなくても彼は一方的に話し続ける。

緊張感がなく、すぐ意識があちこちに飛んでしまう彼は、うちの科の癒し系だ。
同期の佐原さはらはピリピリした雰囲気でいかにも新人救命医という印象。良いコンビだと思う。

「好きな人が俺を好きになってくれなきゃ、なんの意味もないよ。」

つい気が緩んで、本音が出てしまった。

「瀬戸先生、好きな人いるんですか？！」

「残念だけど、そんな時間も余裕もないかなぁ。」

「職場恋愛だったら、どうですか？！」

まっすぐな視線が痛い。彼は智彌ともやに少し似ている。
純粋で、人を疑うことを知らず、どこまでも素直。

「職場恋愛？巽は好きな人、いるんだっけ。」

「俺、瀬戸先生が好きなんです・・・っ・・・あ、言っちゃった・・・俺、何言って・・・・すみません。」

彼を傷つけたいという、理不尽で暴力的な感情が俺の中で暴れ回る。
いつだって、人に愛されるのはこういう人間だ。

俺が巽に手を出すなんてことがあれば、患者の命に関わる。
容易に想像できるその事実が、俺の感情にストップをかけた。

「巽は可愛いね。お前みたいな素直な子、俺も好きだな。」

彼の頭を優しく撫でる。

その気もないのに夢中にさせるのは、俺の悪い癖だった。
来るもの拒まず、去るもの追わず。

そんな俺に愛まなぶが憎しみの視線を向けるから、俺はいつだってそうせざるを得なかった。