【※R-18】Doctors!

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『眼科医』(SIDE 皇 五香)

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~~~~登場人物~~~~

♡皇 五香(すめらぎ ごこう) 38歳

天才脳外科医。
父親が有名な脳神経外科医で、影響を受けている。
手術の腕は天才的だが、精神的に未熟な部分も。生意気で、自分以上の腕の医師はいないと自負しているが、野崎には一目置いている。
相対的に物事を判断する広い視野を持つ野崎にいつも助けられている。
ダークブラウンの髪色。毛先が軽く外に跳ねた髪型。


♡椎野 永嗣(しいの えいし) 38歳

眼科医。皇、芝浜とは同期。
黒縁メガネ。短髪黒髪。長身。色白。猫が好き。
のんびりとした口調で喋り、競争心がまるでない穏やかな性格だが、
医学部をトップの成績で卒業した秀才。究極のマイペース男。
皇に勝手にライバル扱いされているが、闘争心がなくいつでも友好的。


♡芝浜 楓(しばはま かえで) 38歳

皇の同期で、いつも手術でペアを組んでいる。
顎まで長さのある黒髪。ぺたりとボリュームがなく撫でつけたような髪型。表情が乏しい。冷めた表情で、後ろ向きな発言をする、根暗な男。
皇といつも比べられてきたので、「どうせ俺なんて、」が口癖になっている。
サポート役が性分に合っている。


~~~~~~~~~~~





ーーなんで眼科医なんだよ。

彼の専攻を聞いたとき、俺は思わず自分の耳を疑った。

同じ医学部の中で、唯一俺がライバルと呼んで不足が無い男。
ーーー椎野 永嗣しいの えいし

医学部時代はよく成績の一位二位を争ったものだった。
彼は俺の青春と言っても過言ではないほどに、俺の学生時代を語る時なくてはならない重要人物だ。

親父の影響もあって脳外科一択で進路を決めていた俺は、椎野がどこの科を専攻するのか長いこと気になっていた。
学生時代から彼はこちらの質問にはっきりと答えない男で、いつでも俺を苛つかせる。

心臓外科か消化器外科に進むのではないかと当たりをつけていた。
彼には外科医としての素質があった。優秀で、手先も器用。人並外れた度胸がある。

もしかしたら俺と同じ脳外科を選んでくれるんじゃないかなんて、密かに期待していた自分が恥ずかしい。
急にバカらしくなってフツフツと怒りが湧いてきた。


その日から、椎野は俺の天敵になった。
あれほど優秀な奴が、眼科医になるなんてどうかしている。
彼の適性は外科医なのだと、そう思っていた俺の期待をひどく裏切られたような気がしていた。

「いや、それふっつーに失礼だから。眼科だって大変な科だよ。つか、頼むから眼科医連中の前でそれ言うのやめてね?」

楓はいつだって俺の言うことに歯向かう。
何でもかんでもツッコミを入れてくる生意気さが、俺は心底気に入らなかった。

「お前だって本心ではそう思うだろ?椎野は学年でも俺と1、2を争うくらい優秀な成績だったのに。」

椎野はガツガツしたところがまるでない穏やかな男で、医者になるのにこんなのんびりしたタイプもいるんだな、と初めて会った時は驚いた。
基本的には人に譲るというスタンスで、誰かと競うことにはまるで興味がない男。

俺のモットーと真逆な生き方をしている椎野は、いつだって俺が一番気になる相手だった。
競ってでも、奪い合ってでも欲しいと思うもの。そうなりたいと願うもの。
それが信念というものだ。俺はそう思って生きてきたから。

誰かを蹴落としてでも自分のチャンスを掴む。
そうやって積み重ねていくことで、自分にしかできない技術が確立されていく。
そう信じてやってきた。

眼科医だって大変な仕事だ。
医者に優劣はない。
そんなことは、もちろんわかっている。

それでも彼には俺と同じ外科という大舞台で活躍してほしい。共に高め合って行きたいという熱望を捨てることが出来なかった。

「皇、久しぶりだな。お疲れさま。」

外来終わり、楓を従えてイライラしながら廊下を歩いていると、同じく外来終わりの椎野とすれ違う。

彼の顔を見て思わずドキッとしてしまう自分に心底腹が立つ。
意識するのを辞めようと思えば思うほど、俺は椎野のことばかり考えてしまうのだ。

「なんだよ。眼科は楽そうでいいよな。気軽に話しかけてくるな。」

「はは、相変わらずご機嫌斜めだな。芝浜、資料落ちそうだよ。」

「え?あ~ありがとう。椎野っち。」

楓が抱える荷物を手で包むようにして整えてやるその仕草が実に様になっていて、俺はさらに腹立たしくなった。

これだ。こいつのこの態度が気に入らない。
俺がいくらキツくあたっても、奴は全く気にしないのだ。

奴に対する俺の影響力はゼロに等しい。
俺の機嫌が良くても悪くても、あいつを好きでも嫌いでも、
椎野は全く同じ態度で俺に接する。

俺のことはまるで眼中にない。

そう言われているようで、やるせない気持ちでいっぱいになる。

俺の気持ちはいつも一方通行で、お互い通い合うことは永遠にないのだろう。


「皇、今夜空いてる?」

「はぁ?・・・空いてたら、なんだよ。」

「ちょっと相談したいことがあってね。仕事終わりに、脳外科のデスクに行くよ。」

思わぬ提案に俺の心臓はバクバクとうるさく鳴り響いていた。

椎野は、俺の返事も待たずに手を振りながら遠ざかっていく。

あいつのそういう態度が、俺はいつも心底気に入らないのだ。



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