【※R-18】Doctors!

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『傷痕』(SIDE 白河 傑)※R-18 皮膚科医X病理検査技師 【先輩X後輩】

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~~~~登場人物~~~~

♡白河 傑(しらかわ すぐる) 33歳

皮膚科医。サラサラの黒髪。黒縁メガネ。
日常会話はほとんどしないが、仕事の話となると饒舌。
生検好き。
病理検査技師の鮎原と仲が良く、皮膚科にいないときは病理検査室にいる。


♡鮎原 恵巳(あゆはら めぐみ)29歳

病理検査技師。皮膚科の白河をセンパイと呼んでいるが、タメ口。
日焼けした肌、分厚い二重瞼。エキゾチックな雰囲気の男。
深い茶色の髪色。
白河とは恋人同士だと噂されている。
淡々と喋り、ポーカーフェイス。


~~~~~~~~~~~




自分が手術をした相手に愛着を持ってしまうのは、ごく普通のことだと思っていた。
どうやらそうじゃないらしいということに気付いたのは、同期と会話している時だ。

変わり者扱いされることには慣れている。
自分を構成する要素の多くは一般的ではないと、一番長く時間を過ごす相手、恵巳によく指摘されている。

恵巳は俺の中高の後輩で、自分にとっては珍しく気の合う相手だった。
珍しく、というのは訂正しよう。生まれて初めて気が合うと感じた相手だ。

学生時代は授業が簡単すぎてつまらなかった。
医師になってからは毎日が楽しい。新しい発見の連続だ。
病気というのは一般的な進行の流れはあるが、一筋縄では行かない。
日々色々な患者に出会う。
同じ病名であっても、個人個人で全く違う側面を見せるものだ。

細胞は人それぞれ違う。体質も生活環境もメンタルも何もかもが同じ事例というのはあり得ない。
医学部の授業で習ったことが全てではないし、医学会の常識は新たな発見によって日々更新されていく。
俺はこの職業に就いて良かったと、毎日のように感謝している。
これほど自分に合っていてやりがいのある仕事は、他にはないだろう。

恵巳とは、高校を卒業して以来会っていなかった。
そもそもお互いの名前くらいしか、情報を持っていない関係だった。
俺たちの会話のほとんど全ては、医学について、細胞について、というマニアックなもので、家族がどうとか友人がどうとか、それこそ一般的な話はしたことがなかった。

それでも彼とはまたどこかで再会するような気がしていた。
スピリチュアルな話には全く興味がないが、長い人生の中でまた彼に出会う日が来るだろうとそんな予感があった。

彼と一緒にいるといつも不思議な共有感があった。
彼が自分のことを理解し、俺も彼を深く理解できるという安心感。
お互いあまり喋る方ではないが、病理の話となると朝まで話し込んでも尽きない情熱があった。

熱中できる分野が同じ。彼は自分の感覚を分かち合える戦友のような相手だ。


「久しぶりだな。」

「久しぶり、です。」

俺たちは当たり前のように再会し、同じ病院で働く同志としてさらに仲を深めていった。

恵巳はすっかり大人になっていた。
中学生の頃の幼さや未熟さは綺麗に塗り替えられていて、強い意志を持つ男に成長していた。
自分の道を確信し、芯の通った生き方を貫く大人特有の雰囲気。
少し気怠そうな視線や淡々と話す彼らしさはあの頃のままだった。

「先輩、もう眠い。」
彼は仕事帰りに俺の部屋に寄って、文献や医学書を読むようになった。

「泊まっていけばいい。ゲストルームがあるから好きに使ってくれ。」

法医学医の姉が、時々泊まりに来るためだけに用意させられたゲストルーム。
部屋を指差すと、彼はコクリとうなずいた。

姉以外の人間を部屋に泊めるなんて初めてのことだった。
俺にそんな相手が居たのかと、姉は大袈裟に驚くに違いない。

着替えも好きなものを使うように、クローゼットから選ばせた。
シャワーから上がった恵巳はTシャツ一枚で、褐色の美しい脚を曝け出している。


「下に何か履いたらどうだ?」

クローゼットを開けて、パジャマを取り出そうとしていたら、後ろから抱きつかれた。

「恵巳・・?」

「いい。いらない。」

彼の手が、俺の下半身に伸びる。

「恵巳、」

「先輩。俺、先輩とエッチしたい。」

振り返って彼の顔を見ると、彼は潤んだ目で俺を見つめていた。



彼に誘われて何度か寝たが、特別名前のつくような関係性に発展する兆しはなく時間が過ぎていった。
恋人同士というよりは、気の迷いの延長線上にあるような関係で、お互い距離を縮めすぎてしまったことに戸惑いを感じていた。

恵巳を特別な存在として執着心が芽生えるようになったのは、手術がきっかけだった。

彼と寝るようになって数回目の行為の最中。
後背位になった時、彼の背中にある腫瘍に気が付いた。
彼はまるで気付いていなかったらしい。実際にそういう患者は多い。
身体の裏側にある腫瘍は自分から見えないので、ある程度大きくならないと気付かない場合が多い。

生検では良性か悪性かはっきりしなかったので、手術して切除することになった。
手術の結果、初期の悪性腫瘍だったが、表皮内に留まっており全て摘出できた上、悪性度の低いものだったので大事には至らなかった。

抜糸を終えて、久々に彼を抱いたとき、俺は恵巳に対し今までとは違う感情を抱いていることに気が付いた。

彼の背中に、俺が手術した傷痕がある。俺がこの手でつけた傷痕だ。
それを見た途端、今までのセックスとはまるで違う興奮を覚えたのだった。

「・・・ッ・・!先輩・・?」

後背位で深くペニスを挿入する。
最奥まで一気に、乱暴に差し込むと、彼が快感に声をあげた。

臀部を鷲掴みにして大きくアナルを広げ、腰を深く打ち込む。

彼の背中の傷に、優しく指先で触れる。
なんと形容していいのかわからない激しい情欲が、溢れ出した。

「恵巳・・気持ちいいか?」

「先輩・・ッ、気持ちい・・・ッ」

キスマークなんかよりずっと良い。
傷痕ははっきりと彼の体に俺の印を残す。

彼が俺のものであるという証に思えて、愛おしくなる。

「恵巳・・、恵巳・・・・」

これほど気持ちが良い性行為は初めてだった。
彼を抱くたびに身体的な快楽は何度も味わったけれど、心が伴う行為はこれほどイイものかと驚いた。
初めて彼を執着が伴う対象として意識した瞬間だった。


それからは毎日のように、恵巳に触れたいという欲求が湧き起こるようになった。
職場での彼との距離感も自然と縮まってしまう。
意識せずに彼の腰に手を回し、身体を密着させている自分がいる。
こんな経験は初めてだった。

今までずっと仕事に没頭し、決まった相手と肉体関係を持つことはなかった。
性欲はそれほど強くないと思っていたのだが、彼の身体を見るたびに激しく欲情する自分に戸惑う。

「おかえり。先輩。今日はシチュー作った。」

帰宅すると恵巳がシチューを温めようとキッチンに立つ。
俺に背を向ける彼を見ただけで、ムラムラと下半身が疼く。
服の上からでも、彼の傷痕が目に見える気がした。

「恵巳、まずはお前を食べたい。」

後ろから抱きしめると、彼は呼吸を荒くし腰を揺らす。

「このまま・・っ後ろから・・・突っ込んで。」

普段ポーカーフェイスの彼が、俺だけに見せるいやらしい表情。

俺は制御できない欲情を、彼の身体の奥深くに打ち込む行為に夢中になっていた。



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