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『出会い』(SIDE 湊 京)

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~~~~登場人物~~~~


♡湊 京(みなと けい) 33歳

愛治医療センターに勤務する、優秀な心臓外科医。
肩まで伸ばしたロン毛。青光りする黒髪。
医者とは思えないチャラチャラした軽い雰囲気。
患者に対しては、優しく紳士的。若いが、腕の良い一流の心臓外科医。
先輩である朝倉医師のことを尊敬している。



♡朝倉 脩二(あさくら しゅうじ) 38歳

愛治医療センターに勤務する、一流の心臓外科医。
長身で体格が良い色男。プライベートでは細かいことを気にしない男前な性格。
仕事に命をかけている熱い男。
研修医時代に面倒を見ていた湊を手術のパートナーに育て上げ、とても可愛がっている。




~~~~~~~~~~



『出会い』(SIDE 湊 京)


心臓外科を選んだのは、朝倉脩二という男に出会ったからだった。
医学部に入学した時から、ただ漠然と「外科医」になりたいという気持ちはあった。
手先の器用さには自信があったし、昔から追い詰められた極限の状態であればあるほど力を発揮できるタイプだった。
精神的な問題はいくらでもクリアできると思っていたので、なるべく難しい手術に挑戦できる科を希望しようと思っていた。

脳神経外科も精密で特殊な技術が求められるし、未知の臓器でこれからさらに発展していくという意味で興味があった。
消化器外科であれば一つの臓器だけでなく、色々な臓器の手術が出来る。
どの科に行っても自分の実力を発揮して活躍できる自信があった。


研修医時代、朝倉脩二という医師に出会って俺は変わった。
彼と一緒に心臓外科の医者としてやって行きたいという明確な目標が出来た。
医者というのは個人プレーだと思っていた俺の考えを、180度変えてくれたのは朝倉脩二、その人だった。


彼はとても爽やかでルックスが良く、長身で、院内でも一際目立っていた。
誠実さと知性が表情ににじみ出ている。
性格は大雑把で細かいことを気にしない、男らしく頼りになる良い先輩という印象。

ルックスが特別良いのに、本人はまるでそれに気付いておらず、砕けた喋り方で気さくに話しかけてきた。

「ハンサム」というのはこういう男のことを言うのだと、初めて会った時に思わず見惚れてしまった。
朝倉脩二という男の存在感は、異常だった。

今まで会ったどの男とも違う。どの医師とも違う。
自分の人生の中で、これほど印象深く心に残る男は他にいないだろう。そんな直感があった。



「俺たちにとっては数ある中の一回の手術でも、患者さんからしたら一生に一度と言っていい大変な手術だ。特に俺たち心臓外科の患者さんはそうだ。」

朝倉医師の指導は医療技術だけでなく、いかに患者の立場で最良の治療をしていけるか、ということがいつも根本にあった。
俺は彼の人間らしい部分に惹かれていた。手術の技術を磨くことはもちろんだけれど、人間性を失わずむしろより人間らしい方向へ育てて行くべきという彼の持論。


医師は人間性や綺麗事だけでは務まらない厳しい仕事だ。
その厳しさを全て知った上で、人間性が最も大事だと言い切る彼の人柄が、俺は好きだった。

「心臓外科医として、手術の腕を磨くのはもちろん大事だが、医療はチーム戦だ。一人の技術でどうこうなるような甘い世界じゃない。」

重篤な患者が多い中、治療も困難を極める心臓外科。子供からお年寄りまで年代の幅も広い。医師としての決断が人の生死を左右するプレッシャー。急患も多く、決断力や治療のスピードを日々問われる。

だからこそ医師も看護師も他の従事者たちも、分け隔てなく助け合い一丸となって治療にあたることの重要性。
朝倉先生はどんなスタッフにも優しかった。もちろん指導は厳しいけれど、彼はどんな時でもどんな人に対しても、対等な愛情を持って接している。


心臓は人間の命をつなぐためになくてはならない臓器だ。
生命の象徴であり、すぐに死に直結してしまう重要な臓器。

心臓外科医という仕事に、人生の全てをかける彼の情熱。


朝倉先生に指導されるたびに、俺は彼のことを深く知っていった。
お互いの身の上話で親交を深めるよりも、同じ現場に医師として立つことで、彼のことをより深く知ることができる。
研修医として彼の指導を受けている間に、俺は彼に心底惚れ込んでしまっていた。



「湊、お前専攻したい科はもう決まってるのか?」

朝倉先生が俺に目をかけてくれているのはわかっていた。
気にかけてくれることが嬉しくてたまらなかったけれど、その期待に応えたい気持ちが大きくなりすぎて、彼の前ではいつも素直になれなかった。

普段の冷静な自分でいられなくなることが、許せない。
感情も集中力も全てコントロールして、自分の支配下に置いておきたかった。それが優秀な医師には絶対必要な能力だと思っていたから。

朝倉先生は俺にとって特別な存在だった。彼に憧れていた。
彼を好きだと思う気持ちがただの尊敬なのか、男としてなのかわからなくて混乱するほどに。
好きな人ほど素っ気なくしてしまう、中学生男子のような心境の自分には内心呆れていたけれど、そうすることで自分を保とうと決めていたのだ。

「まぁ。大体は固まってますけど。」

そんな風に彼の質問をかわしているうちに、専攻を選ぶ時期があっという間にやってきた。



「朝倉先生、俺はあなたの下で、いや・・・あなたと一緒に心臓外科の医者としてやっていきたいです。」

まるで愛の告白でもするような真剣さで、俺は彼に伝えた。
人生をかけて取り組みたいと思えることが目の前にあり、俺は大変に満足していた。

朝倉 脩二。
医師になり、彼に出会ったことに、運命的なものを感じていた。
俺の医師としての人生を一緒に歩みたいと思える相手に、こんなに早く出会えるとは夢にも思っていなかった。




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