完】異端の治癒能力を持つ令嬢は婚約破棄をされ、王宮の侍女として静かに暮らす事を望んだ。なのに!王子、私は侍女ですよ!言い寄られたら困ります!

仰木 あん

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第三十一話 悪魔ザスベエリ

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「しもべですって……。」

「おのれ、我が国民になんて事を……許せん!」

アドレーが剣を鞘から引き抜くと、ソフィアを切り伏せる!

「ふ、ぐぁ~~!!」

「王子、加勢致します!」

アドレーは、衛兵達と共に、悪魔を切り伏せていく!

「な、何をする!私の可愛い子供達に!」

悪魔ザスベエリが、より一層体から醜悪な気を漂わせ、怒りを顕にする!

「う、動けん!」

臭気に当てられ、アドレーも、衛兵も体を動かす事が困難になっていく!

その時!

『イデアルさん、皆を元に戻すために力を貸してください!』

『ああ、勿論だとも。』

再びマリアは指輪に力を注ぎ、眩い程のマナの光が辺りの臭気を消し去っていく!

「な、なぜ、こんな力が………」

マナの光により、出来た隙に、アドレーは、ザスベエリの心臓を剣で突き刺す!

「ぐ……な、なんだこの光と、…力は……」

「さあな、私はマリアを信じ、マリアが作ってくれたこのチャンスを生かしたまで……。愛の力とでも言っておこうか。」

「あ、愛だと……私はチャーリーに愛されなかったのに……。」

「いや、そんなことはない。チャーリーは君を愛していたさ、だからこそ、二人にはハリー王子が誕生したんだろ?チャーリーは、シーヴァとの子、ジョージではなく、ハリーを後継とした。これはあんたへの愛がまだあったからではないのか?」

「しかし、チャーリーは、ドルイダスの女に走った!」

「お前が勝手をしていたからだろ?国母として慎ましやかにしていればそうはならなかったはずだ!全ては自業自得ってやつだな!」

アドレーはザスベエリの胸に突き立てた剣を引き抜くと、首をはねる! 

「貴女はやり過ぎたんだ。」

ザスベエリの体は力なく崩れ、砂塵と化す! 

「アドレー!」

「マリア!大丈夫か?」

「は、はい、ただ…少し、力を使い……。」

マリアが気を失いかけ、倒れかけるところを、アドレーが支える! 

「まったく、ムチャしやがって……。助かったよマリア。」

マリアはアドレーの頬をさわると、

「貴方もずいぶんムチャをしたと思いますよ。悪魔に斬りかかるなんて、一国の王子の所業ではないもの。」

「ふ、それは、その王子の婚約者にも言えるぞ。」

二人は見つめ会い、口唇を重ねた。






「あ、あの~、殿下?民衆が見ております。」

一人の衛兵が声をかける。

「なんだ?邪魔をするな、見られて困ることもない!何より、ドルイダスがこの国を救ったのだ、この事をおおいに喧伝するんだ!」

「は、はい!」

こうして、ザスベエリの悪魔騒動は幕を閉じたのである。
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