完】異端の治癒能力を持つ令嬢は婚約破棄をされ、王宮の侍女として静かに暮らす事を望んだ。なのに！王子、私は侍女ですよ！言い寄られたら困ります！

【閑話】 一方ソフィアは……

「おい！ソフィア！これはどういうことだ！」

「なにかあった？ハルト？」

ハルトは、財政状況を記した書類をソフィアの前に出し、

「なにかあったではない！最近、買い物から、食事から、旅費やら、何からなにまでお金を遣いすぎではないか？いくら侯爵家とはいえ、こんなに浪費されては……」

「そ、そんな……ハルト様、真実の愛があればこのくらいの事は小さなことでしょう？何より、私のお腹の子供のためにも、母親が幸せであることは重要でしょう？」

ソフィアは上目遣いで瞳を潤ませてハルトに囁く……しかし、

「いや、このままでは財政が破綻してしまう！それでは子供を育てる事はもちろん、この、真実の愛も長くは……」

「はい、はい、はい、はい、はい、はい、はい、はい！」

ソフィアはハルトの言葉を遮り、大きな声をあげる！ 

「うっるさいな～！あ～もう、稼げば良いんでしょ！」

ハルトは少し、脅えながら、

「ソ、ソフィア、何だ、そんな大きな声を出して……」

「真実の愛があれば何でも乗り越えられるでしょ？なのに、かね、かね、かね、かね、かね、かね！あ～もう、うるさい！」

「ソ、ソフィア、そんなことをいうなら、」

「は？なに？婚約破棄でもするっての？いくら侯爵と言えども、婚約者のお腹に子供がいて、なおかつ、来週に結婚式を控えてるのよ！そんなことを出来るわけ無いわよねぇ？」

ソフィアはハルトに詰め寄る！ 

「な、何を、お、脅しなどに僕は……」

「屈しないっていうの？まったくおめでたい坊っちゃんだこと！マリアとの婚約を破棄したときに、この証文にサインしたわよねぇ？これは、ライオネル家とリッチ家がマリアと婚約破棄し、私に乗り換えたことから、その後にはもう、争わないない為の物よ！貴方本当に、ちゃんとこれ読んだの？」

「な、なにを言っている！きちんと目を通して署名したに……」

「はぁ～、だから貴方はダメなのよ！どうせ、適当に読んだんでしょう？まぁ、真実の愛があるから信じてくれたんだろうけど…私を！でしたら、ここにある通り、一生添い遂げるか、もしくは全てを私に譲って一人で出ていくかね！」

「し、しかし、そんなことは何処にも……」

「はぁ？本当にヌケているわね！ここに、跡を継ぐ男の子ができたら、その子に全てを相続させ、その母親を後見人として定め……となってるわよね！」

「そ、そんな……しかし、それは男児の場合のみの……」

「ええ、そうよ！だから教えてあげるけど、先日この子は男児であると、魔法で判定 済みよ！だから、私はこの子の後見人なの！わかったら、大人しく私にしたがってなさい！」

「そ、そうなのか……わ、わかったよ……しかし、支払いなどにまわすお金はどうするんだ？」

「ふ、領地の外れの土地を少し借りるわね♪」

「な、なにを、する気だ！」

「まぁ、黙って見ていなさい！」

ソフィアは悪魔のごとき笑顔でハルトにこれからの話をする。