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ニ話

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父のオリビエが亡くなり、暫くの間は、アルフレッドとジュリエッタは、二人で仲良く暮らしていたのですが、それから半年もすると、アルフレッドはよく出掛けるようになる。

「ジュリエッタ、すまないが今日も遅くなるよ。」

アルフレッドは玄関口でジュリエッタにそう告げる。

「はい、わかりました。アルフレッド、最近帰りが遅いけれど、身体は大丈夫?」

ジュリエッタはアルフレッドに手荷物などを手渡しながら問いかけた。

「ああ、大丈夫だよ。心配する事はないさ。」

ジュリエッタから鞄などを受け取りながらこたえた。

「そう?それなら良いんだけど………。」

なおも心配そうなジュリエッタに、

「では行ってくるよ。今夜も夕飯は要らないからね。」

そう伝えると、アルフレッドは玄関を出ていく。

「はい、わかりました。」

玄関口でジュリエッタはアルフレッドが屋敷から出ていくのを見送ると、一人屋敷の掃除などに取り掛かるのだった。
そんな日々が続き、ジュリエッタは一人で食事をする事が増えていった。

そんなある日、アルフレッドが、酷く酔って帰宅した。

「アルフレッド?大丈夫?」

心配そうに問いかけるジュリエッタにアルフレッドは、

「まったく、……そうやって毎日、毎日、毎日!……しけた面で俺を出迎えやが って……うっぷ!……俺は伯爵家の息子だぞ!……それがこんな貧乏貴族の子爵に成り下がるなんて……間違ってる!」

と、酔った勢いで、喚き散らしている。
そんなアルフレッドにジュリエッタは、

「ごめんなさいアルフレッド。でも、貴方の働きのお陰で、最近は収入も増えて来たんじゃないの?」

ジュリエッタは機嫌を取るようにそう問いかける。

「うるさい!お前は俺の仕事に口を出すな!って………、収入が増えたからといって、遊ぶつもりだな?この穀潰しが!」

そう叫ぶと、アルフレッドはジュリエッタの頬に平手打ちをする!

「痛い!」

頬をおさえ、うずくまるジュリエッタに、

「ああ?!そんなわざとらしい態度をとっても許さん!」

うずくまるジュリエッタの背中を何度か蹴りつける。

そのうち、泣きはじめるジュリエッタを見て、アルフレッドは満足したのか、自室に行き、眠ってしまうのだった。

翌日アルフレッドは、腫れたジュリエッタの顔を見ても、一瞥するだけで、

「ふん!じゃあ行ってくるぞ!」

そう言い残し、出掛けるのだった。

それから数日して、アルフレッドが帰宅する時刻に、屋敷の前に馬車が横付けされる。

「おい!帰ったぞ!」

アルフレッドが大声を出して、帰ってきた!



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