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第六話 連弾
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アルフレッドはピアノの前で緊張していた。
コンクールで優勝などと言うのは学生時代の話。
ライバルの演奏に挫折し、数学教師として、教壇に立つようになり、ピアノは趣味として楽しんでいたので、緊張とは無縁のものだった。
そんなアルフレッドにとって、気になる青年との連弾は、いいところを見せたいと言う下心も働き、かたくなっていた。
「先生?緊張してらっしゃるのですか?」
チャーリーが耳元でささやく。
「いや、そんなことはないさ。」
なんだか心を見透かされたようで、恥ずかしくなり、強がりを言ってしまった。
「では、僕からいきますね。」
チャーリーがリードし、始まった連弾は、時が進む毎に二人の息が合い、素晴らしい演奏となる。
激しさを増す過程で二人の距離は縮まり、肩を密着させて弾き始め、ギャラリーはいつの間にかアダムス親子の他にも集まってくる。
ホテルのロビーはライブ会場さながら熱を帯び、大いに沸いた。
「ふぅ、こんなに多くのギャラリーに囲まれて弾くピアノは久しぶりだ。お陰で楽しい演奏ができたよ。」
アルフレッドはチャーリーに握手を求める。
その手を両手で包み込み、チャーリーは、
「いえ、この様な素晴らしい演奏になったのは先生のお陰です。ありがとうございました。」
そんな言葉を交わす二人に、マリアは、
「先生、ありがとうございます。なんだかこんなにギャラリーまで集まってしまって、大騒ぎですね。」
「はは、まぁ君の息子の演奏が素晴らしいからな。さて、私は少し疲れたから汗を流しに部屋へ戻るよ。」
「あら?そうなんですか?もう少しゆっくりお話したかったのですが、そう言うことなら仕方がありませんね。今夜はありがとうございました。」
「ああこちらこそ、楽しい夜になったよ。ありがとう。」
こうしてその場はお開きになり、アルフレッドはシャワーを浴び、スッキリしたのだが、心の高揚感が残っており、眠れそうに無いと、昨夜に続き、再びバーラウンジへと足を向けた。
昨夜とは席を変えて、禁煙席に座り、ワインを傾けて、夜景を眺めていると、
「先生も眠れないのですか?」
そう後ろからチャーリーが声をかけてくる。
「ん?ああ、君か。先程の演奏、とても楽しかったよ。」
アルフレッドは夜景が見える横の席にチャーリーに座るように促す。
「あ、失礼致します。私もとても楽しい演奏でした。ありがとうございます。」
席に着くと、チャーリーは笑顔を見せる。
そんなチャーリーを、見て、アルフレッドは言葉を詰まらせながら、
「そうか……。あの……。なぁ……。いつまで滞在しているんだ?」
「明後日には、こちらを発つ予定です。」
明後日と言う言葉を聞き、アルフレッドはぶつぶつと独り言を繰り返し、挙動不審な態度で、
「そうか……私は後、一週間はいる予定なんだ。……そうか……明後日か…。」
そんなアルフレッドを見てチャーリーは、
「んふふ、何か言いたいことがあるんですか?」
もう自棄だと、アルフレッドは思い切る。
「いや……その……この後私の部屋で話でもしないか?」
「お話?で・す・か?んふふ、まぁいいですよ。」
アルフレッドの誘いに、チャーリーはまんざらでもない様子で答え、微笑みをアルフレッドに向ける。
少し気持ちがホッとし、でも興奮を抑えられない様子でアルフレッドは、
「そ、そうか……。じ、じゃあ……行こうか?」
そんなアルフレッドにチャーリーは微笑みを浮かべながら、
「はい。」
こうして、二人の夜の第二幕が始まる。
コンクールで優勝などと言うのは学生時代の話。
ライバルの演奏に挫折し、数学教師として、教壇に立つようになり、ピアノは趣味として楽しんでいたので、緊張とは無縁のものだった。
そんなアルフレッドにとって、気になる青年との連弾は、いいところを見せたいと言う下心も働き、かたくなっていた。
「先生?緊張してらっしゃるのですか?」
チャーリーが耳元でささやく。
「いや、そんなことはないさ。」
なんだか心を見透かされたようで、恥ずかしくなり、強がりを言ってしまった。
「では、僕からいきますね。」
チャーリーがリードし、始まった連弾は、時が進む毎に二人の息が合い、素晴らしい演奏となる。
激しさを増す過程で二人の距離は縮まり、肩を密着させて弾き始め、ギャラリーはいつの間にかアダムス親子の他にも集まってくる。
ホテルのロビーはライブ会場さながら熱を帯び、大いに沸いた。
「ふぅ、こんなに多くのギャラリーに囲まれて弾くピアノは久しぶりだ。お陰で楽しい演奏ができたよ。」
アルフレッドはチャーリーに握手を求める。
その手を両手で包み込み、チャーリーは、
「いえ、この様な素晴らしい演奏になったのは先生のお陰です。ありがとうございました。」
そんな言葉を交わす二人に、マリアは、
「先生、ありがとうございます。なんだかこんなにギャラリーまで集まってしまって、大騒ぎですね。」
「はは、まぁ君の息子の演奏が素晴らしいからな。さて、私は少し疲れたから汗を流しに部屋へ戻るよ。」
「あら?そうなんですか?もう少しゆっくりお話したかったのですが、そう言うことなら仕方がありませんね。今夜はありがとうございました。」
「ああこちらこそ、楽しい夜になったよ。ありがとう。」
こうしてその場はお開きになり、アルフレッドはシャワーを浴び、スッキリしたのだが、心の高揚感が残っており、眠れそうに無いと、昨夜に続き、再びバーラウンジへと足を向けた。
昨夜とは席を変えて、禁煙席に座り、ワインを傾けて、夜景を眺めていると、
「先生も眠れないのですか?」
そう後ろからチャーリーが声をかけてくる。
「ん?ああ、君か。先程の演奏、とても楽しかったよ。」
アルフレッドは夜景が見える横の席にチャーリーに座るように促す。
「あ、失礼致します。私もとても楽しい演奏でした。ありがとうございます。」
席に着くと、チャーリーは笑顔を見せる。
そんなチャーリーを、見て、アルフレッドは言葉を詰まらせながら、
「そうか……。あの……。なぁ……。いつまで滞在しているんだ?」
「明後日には、こちらを発つ予定です。」
明後日と言う言葉を聞き、アルフレッドはぶつぶつと独り言を繰り返し、挙動不審な態度で、
「そうか……私は後、一週間はいる予定なんだ。……そうか……明後日か…。」
そんなアルフレッドを見てチャーリーは、
「んふふ、何か言いたいことがあるんですか?」
もう自棄だと、アルフレッドは思い切る。
「いや……その……この後私の部屋で話でもしないか?」
「お話?で・す・か?んふふ、まぁいいですよ。」
アルフレッドの誘いに、チャーリーはまんざらでもない様子で答え、微笑みをアルフレッドに向ける。
少し気持ちがホッとし、でも興奮を抑えられない様子でアルフレッドは、
「そ、そうか……。じ、じゃあ……行こうか?」
そんなアルフレッドにチャーリーは微笑みを浮かべながら、
「はい。」
こうして、二人の夜の第二幕が始まる。
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