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二十六話 ギネリン王の動き

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オリビエとハルトの処刑の日から、10日程の時が過ぎていた……。

アメリアはギネリン王の動向を調べる密偵からの報告書をまとめていた。

「これって………!!早くキース様にお報せしないと!!」

アメリアは、書類の束を抱えて小走りでキースの執務室へと向かう、道すがら、マリアとすれ違う。

「あら?アメリア、そんなに急いでどうしたの?私には廊下は走らないように言うのに、そんなに書類の束を抱えて……」

両手を腰に当て、ふんぞりかえるマリアがそこに居た。

アメリアは最近あまりマリアにかまってあげることも少なくなっているし、教師としての見本を見せなくてはいけないのに、注意されてしまったので、

「そ、そうね、ごめんなさい。マリアさん。」

そう素直に返すと、マリアは、

「まったく、私の家庭教師として雇ったはずなのに、いつの間にはお父様のお仕事をするようになって、そればかり……」

少し寂しそうな表情のマリア。
アメリアは頭を下げて、

「そうよね、ごめんなさい。」

そう謝ると、マリアは少しアメリアと話して満足したのか、

「まぁ、良いわ。急ぎの用事みたいね……。邪魔をしたようだし、ごめんなさいね。」

そう言って、マリアはアメリアを残し、廊下の先へと歩みを進める。

アメリアは、マリアにも寂しい思いをさせてしまっていると感じ、早くこの状態が終わることを祈りながらキースの部屋をノックする。

「アメリアか?入れ。」

そう部屋の中から指示をするキースに従い、アメリアが入室すると、アメリアの表情と書類の束を見比べて、

「ギネリン王が動き出したようだな………それも多くの軍隊を率いて……」

話す前に伝えようとしていた内容を言い当てられ、驚くアメリアは、

「え?あ?ええ……そうです。」

と、驚きの表情で答え、それを聞いたキースは満足そうに言葉を続ける。

「うん、そうか、そうか、それで?軍艦も出て、港も抑えようってところかな?」

そうアメリアに問いかけるキースは、余裕と、楽しんでいる感じをだす。
そんなキースと対照的に、焦りと不安の中にいるアメリアは、

「はい。そうです……だから早く手を打たないと……。」

と、進言するが、キースは満足そうに頷き、

「まぁ、そうだよな。アメリア、良くやってくれた。ご苦労様。まぁ、色々と気を揉むだろうが、後の事は手を打ってあるから大丈夫だ。」

不安にらなるアメリアと、ギネリン王の動きが全て思い通りだと満足するキース……。

『まさか』と言うことが起こる予感がするアメリアは、

「キース様!何か良く分かりませんが、油断していると『まさか!』と言う事が起きるものです。どうか、お気持ちを……」

必死なアメリアの様子にキースは、

「そうか……アメリア、私を諫めてくれてありがとう。」

キースは緩んでいた表情を引き締めるのだった。

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