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十三話 その頃、フュルスト家は②【胸糞注意】

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オリビエがエリザベス、ソフィアと親子仲良くスキンシップを楽しみはじめ、それから
暫くして、三度ドアがノックされた。
楽しみを邪魔されたオリビエは、不機嫌な感じを顕にして、

「なんだ!!私は今忙しいんだ!」

そうドアの向こうの使用人に向けて怒鳴る!!
しかし、使用人は大切な報せとばかり、

「申し訳ありません、しかし、この報せだけは、直ぐにでも、旦那様のお耳にお入れしなければ、いけないことなので………、開けても宜しいでしょうか?」

使用人がそう尋ねるので、
オリビエは、服を着ていない状態をいくら使用人だからと見せるわけもいかず、

「いかん!その報せは重要なことなのだな?」

そう、下着をつけながら尋ね返すオリビエ。

そこで使用人は、情報の大切さを伝えるために、アメリアの名前を出す!

「はい、アメリア様の事に関する情報でして、この先はあまり大声では………。」

次第にトーンダウンする扉の外の様子とは反比例して、オリビエは興奮気味に、

「なに!?アメリアの行方が分かったのか?」

大声で返すが、使用人は奥歯に物が挟まったような感じでハッキリとはせず、

「はぁ、まだハッキリしたわけではないのですが、状況から見て、……旦那様、これ以上は……開けても宜しいでしょうか?」

再度の申し入れに、オリビエはたまらず部屋から顔だけを覗かせ、

「分かった。これから応接間に行くからお前はそこで待て!」

そう指示を出すと、オリビエは身なりを整え、裸の二人を部屋に残し、応接間へと向かうのだった。

楽しみを邪魔され、オリビエはイラついていたが、ここ2ヶ月の悩みの種だったアメリアの行方が掴めたかもしれないと言う情報に、足早に応接間に向かい、ノックもせずに開け放つと、使用人に迫る!

「おい!先程の話は嘘じゃないのか?」

未だに行方が突如掴めたことが信じられないオリビエが問い直す。
しかし、使用人の口からは、

「はい、証拠の品も届けられ、確信は持てませんが、おそらく……と言ったような事でして……。」

と、ゴモゴモとハッキリしない答えがかえる。

「ん?お前の言うことは訳がわからない!簡潔に伝えろ!」

オリビエはイラつきはじめる。
そこで使用人は、手元にある物を机に出し、説明をはじめた。

「はい、では、旦那様、お気を確かに、まずはこのドレスをご覧ください。」

ボロボロの汚い布の塊を応接間の机に置かれ、オリビエは、益々、不機嫌になる

「何だ?この汚いぼろ布は?」

その問いに、使用人はもっともと言った感じで、

「ああ、そうですよね、元々はこうでは無かったのですが、これはアメリアお嬢様が屋敷をお出になられた時に着ていたものでして……」

言いにくそうに言葉を並べる。

「ああ、それが?ん?それが見つかって、何故アメリアが居ない?」

ドレスがあるのに、アメリアがここに居ないのが不思議だと、素直に聞くオリビエ、それに使用人は、

「はい、これが見つかったのが、海でして………」

段々と声が暗くなる。

「あ?海?……それが海に浮いていたのか?」

オリビエが聞き返すと、

「そうです。崖の上にお嬢様の靴が揃えて置かれていて、その下の岩礁にこのドレスだったものが打ち上げられていたそうです………。すみません……こんな、報告になってしまい……。」

使用人は涙ながらに報告をするが、オリビエは、やっと事態を飲み込み、顔をうつむかせ、肩を震わせるが、その口角は上がっていた。

「そうか……それは残念だな……。ご苦労。一人にしてくれないか?」

肩を震わせるオリビエを見て、使用人は静かに応接間を後にする……。

しかし、オリビエはうつむき加減で、肩を震わせ、泣いていたのではなく、笑いを堪えていた……。

大声で笑いたいが、それは流石に使用人どもの不興を買うことは目に見えているので、静かに、肩を震わせ、笑いを噛み殺す……。

実の娘を失ったかもしれないのに、笑うオリビエは、フュルスト侯爵家の秘密を握っていたかもしれないアメリアが、怨みをもって復讐に来るかと思っていたら、みずから命を絶っていたと言う報告。

それに、オリビエは歓喜していた!
そして、それを必死に押さえ込むのだった。
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