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私の婚約者ハルト伯爵様は、とにかく女性が大好きのようで、私と言う婚約者がありながら何度も浮気をしている。
先日私は我慢の限界を迎えたので、ハルト様にお話をすることにした。

「ハルト様、前回も申しあげたのですが、下手な浮気をするのは、お止めになって、いただけませんか?」

「なんだ?嫉妬しているのか?そんなに俺の事が好きなのか?分かった、分かった、君の気持ちは嬉しいが、俺の事を女の子たちが放っておいてくれないんだよ。君もモテない婚約者より、皆に言い寄られるモテる婚約者の方が良いだろう?」

「はぁ~~~~~。」

私は大きな溜め息を一つつくと、

「話が全く通じないというのは、こんなに悲しいものなのですね。分かりました。ハルト様がお変わりになられないようなので、私との婚約は無かったものとして頂けませんか?」

「はぁ?この俺との婚約を破棄するだって?本気なのか?まぁ、良いだろう。希望通りに、お前との婚約は破棄だ!後で泣きついてきてもとりあったりはしないからな!」

「ええ、かまいませんことよ。では、早速、失礼させていただきます。」

こうして私はハルト伯爵との婚約を破棄し、屋敷を後にするのであった。 


~~~五年後~~~

私はギーグ侯爵と結婚し、幸せな家族を築いている。

「奥様、今日の新聞でございます。」

「あら、ありがとう。………そう、やはりそうなったのね。」

新聞には、ハルト伯爵が巨額の収賄の罪で投獄、近日中に領地の没収とあった。 

ハルト伯爵は顔も性格(女遊びいがいの)も、爵位も、子爵令嬢に過ぎなかった私にとっては十分な相手ではあった、しかし、如何せん頭が弱かった………。

貴族の世界は、足の引っ張り合いに、騙し合い、裏切り、裏切られる世界のなかで、あんなに要領が悪く、頭もキレない人ではダメだと見切りを付けて正解だったようね。

私は下手に証拠を掴まれるような浮気をするなとあれだけ言ったにもかかわらず、浮気相手の手紙を大事に引き出しにしまっていたり、皆に目撃されるようなところでキスを交わしたりと、まるで吹聴しているかの如くの浮気しか出来ない男に未来は無かったようね。 

「ん?どうしたんだい?新聞に何か気になる記事でもあったのかな?」

「あら、旦那様、ええ、昔の知り合いが収賄で投獄されたようなのよ。」

「そうか、気の毒にな。」

「ええ、本当にお気の毒。」
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感想 1

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みんなの感想(1件)

千夜歌
2022.03.18 千夜歌

素敵なお話ありがとうございます。

付け入る隙を与えない。もしくは些末な攻撃を防げる手腕が有るからこそ、浮気すらも【貴族の遊び】として見逃されている現実にバカは生涯気付くことは無かった…というお話(笑)

浮気相手という名の破滅への甘い罠だったのでしょうね。


これからもご活躍を楽しみにお待ち申し上げます。

仰木  あん
2022.03.18 仰木 あん

御感想ありがとうございます。

これからの励みになりました。

今後とも精進致しますのでよろしくお願いいたします。

解除

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