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第十五話 妊娠9ヶ月
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妊娠9ヶ月、アンリエッタのお腹は大きくなり、動くのも大変になってきた。軽い運動は奨励されているため、屋敷や、庭を歩きまわって、来る出産に向けて体力作りをしている。
今日もエミリーと二人で、庭を見て回り、軽く汗を流していた。
「ふぅ、今日もたくさん歩いたわね。エミリー。」
秋に入り、涼しくなったとはいえ、アンリエッタは軽く額に汗を滲ませていた。
そんなアンリエッタに、エミリーは最近、少し気になることを話す。
「そうですね。アンリエッタ様。あの最近少し気になることがありまして………私が仕えるようになってから、カール様をアンリエッタ様があまり傍に置かなくなったせいか、ちょくちょく、奥様の様子などを聞かれるのですが……。まぁ、奥さまの事を心配しての事だとは思うのですが、如何せん、カール様はこのヴィルムス侯爵家の執事なので……。」
ハルトの事を調べているのが、カールに知れたのかと心配していることをハッキリと表情にだし、問いかけてくる。
「ああ、大丈夫よ、エミリー、その事は、カールにも、妊娠中やその前後は私も傍には女性にいて欲しいから、カールには、本来の屋敷を管理する仕事に専念してと言ってあるし、何より、秘書業務の為に貴女を雇ったのだから、安心しなさい。何より、余計なことは伝えてないでしょ?」
「はい、それはもう、たとえカール様でもハルト様の事を……」
「あ、それ以上は、ここではダメよ。」
アンリエッタはエミリーをたしなめるように言った。
「す、すみません。」
謝るエミリーに、アンリエッタは何かを思い付いたのか、
「ふふ、まぁ、話を聴かれても、逆に脅しになるかもしれないけれど、……後で私の部屋で話しましょう。」
「はい、奥様。」
アンリエッタは、散歩から帰ると、シャワーを浴びて汗を流し、エミリーを仕事部屋に呼ぶ。
「さて、ん!」
「はい。」
エミリーは手慣れた手つきで部屋の隅々まで魔法で盗聴の魔道具などが無いか調べる。
アンリエッタは資料の流出騒ぎから、仕事部屋を離れる度に、エミリーを連れ、異常や盗聴魔道具が無いか調べてから仕事を始める事にしていた。
「アンリエッタ様、異常はありません。」
「そう、いつもご苦労様。」
「いえ、そんなことは。」
「それで?ハルトはソフィア様とどこで?」
「はい。魔列車の国王専用車のプロトタイプを破壊せずに、流用しておりまして。」
「そう、それで?」
「はい、こちらの出納帳をご確認して下さい。」
「ふん、ふん、………。そう。ハルト君は本当に期待を裏切らない人ね。」
「エミリー、証拠の映像記録魔道具は?」
「はい、こちらに。」
次々と集まる証拠の数々に、アンリエッタは怒りを通り越し、あきれ果て、うっすらと笑みを浮かべながら呟くのでした。
「さっ、ハルト君、どう料理してあげようかしら?」
今日もエミリーと二人で、庭を見て回り、軽く汗を流していた。
「ふぅ、今日もたくさん歩いたわね。エミリー。」
秋に入り、涼しくなったとはいえ、アンリエッタは軽く額に汗を滲ませていた。
そんなアンリエッタに、エミリーは最近、少し気になることを話す。
「そうですね。アンリエッタ様。あの最近少し気になることがありまして………私が仕えるようになってから、カール様をアンリエッタ様があまり傍に置かなくなったせいか、ちょくちょく、奥様の様子などを聞かれるのですが……。まぁ、奥さまの事を心配しての事だとは思うのですが、如何せん、カール様はこのヴィルムス侯爵家の執事なので……。」
ハルトの事を調べているのが、カールに知れたのかと心配していることをハッキリと表情にだし、問いかけてくる。
「ああ、大丈夫よ、エミリー、その事は、カールにも、妊娠中やその前後は私も傍には女性にいて欲しいから、カールには、本来の屋敷を管理する仕事に専念してと言ってあるし、何より、秘書業務の為に貴女を雇ったのだから、安心しなさい。何より、余計なことは伝えてないでしょ?」
「はい、それはもう、たとえカール様でもハルト様の事を……」
「あ、それ以上は、ここではダメよ。」
アンリエッタはエミリーをたしなめるように言った。
「す、すみません。」
謝るエミリーに、アンリエッタは何かを思い付いたのか、
「ふふ、まぁ、話を聴かれても、逆に脅しになるかもしれないけれど、……後で私の部屋で話しましょう。」
「はい、奥様。」
アンリエッタは、散歩から帰ると、シャワーを浴びて汗を流し、エミリーを仕事部屋に呼ぶ。
「さて、ん!」
「はい。」
エミリーは手慣れた手つきで部屋の隅々まで魔法で盗聴の魔道具などが無いか調べる。
アンリエッタは資料の流出騒ぎから、仕事部屋を離れる度に、エミリーを連れ、異常や盗聴魔道具が無いか調べてから仕事を始める事にしていた。
「アンリエッタ様、異常はありません。」
「そう、いつもご苦労様。」
「いえ、そんなことは。」
「それで?ハルトはソフィア様とどこで?」
「はい。魔列車の国王専用車のプロトタイプを破壊せずに、流用しておりまして。」
「そう、それで?」
「はい、こちらの出納帳をご確認して下さい。」
「ふん、ふん、………。そう。ハルト君は本当に期待を裏切らない人ね。」
「エミリー、証拠の映像記録魔道具は?」
「はい、こちらに。」
次々と集まる証拠の数々に、アンリエッタは怒りを通り越し、あきれ果て、うっすらと笑みを浮かべながら呟くのでした。
「さっ、ハルト君、どう料理してあげようかしら?」
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