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第五章・ミャンマー行きの予定が何故か雲南へ
サバイディー、南方上座部仏教国の夕陽 172
しおりを挟む第二十二話
2009年12月29日、初の中国の土地を踏み入れた僕は、昆明行きのバスがいつ出発するかもわからない状態に苛立っていた。
僕を含めて僅か3人の旅行者であるタイ人青年と南米系アメリカ人とで、遅めの朝食兼早目の昼食をバス発着場近くのこぎれいなレストランで摂った。
満腹になったあとは、バス発着場から余り離れない辺りをタイ人の青年と二人で散策した。
彼は流暢な英語を話し、僕のぎこちない英語とでコミュニケーションをとる。
三十代前半の彼は、プーケットの生まれで、バンコク市内の大学を卒後後、国家公務員となり、タイの官庁に勤めているのだとか。
物静かな語り口調で、僕がこれまで接したことのあるタイ人に比べて、品位を感じる好青年であった。
彼は今年の仕事を終えて、僅か5日程度の休みを利用して、バンコクからウドンタニーを経てビエンチャンへ入り、このバスに35時間も乗って明日の早朝、昆明に到着する。
そして、昆明に2泊程滞在して観光したあと飛行機でバンコクへ帰るという旅程とのこと。
大変だなと思う。
二人で国境の町・モーハンの綺麗な街並みを背景に写真を撮りあったり、しばらく散策した。
バンコクで再会したら楽しいかな、と思ったりもしたが、彼から何も言ってこないのでプライベートな部分は突っ込んで訊かなかった。
さて、バスは午後一時を過ぎてようやく再出発した。
この国境の町・モーハンは、ラオスとの国境が整備されるようになってから、にわかにできた町といえる。
ここから昆明まではまだ十時間程度かかるとか言っているが、本当は何時間かかるのか分からない。
僕が降りる予定の景洪(ジンホン)まではあと3時間程度とのことである。
小さなモーハンの町を抜けると、すぐに高速道路に乗った。
かなり整備された高速道路だが、車自体はあまり走っていない。
以前、仕事でよく走った近畿地方の舞鶴自動車のように感じる。
好天の中、大型バスはグングンとスピードを上げて走る。
窓からは小さな山に囲まれた集落が所々に見える。
なかなかのどかな風景にホッとする。ラオスの山道と違って快適である。
このまま予定通りに景洪(ジンホン)に着けば、宿を探す時間は十分あると、少し気持ちにもゆとりが生まれた。
ところが、中国のバスはスムーズに僕を目的地・景洪(ジンホン)へは連れて行ってはくれなかった。
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