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第五章・ミャンマー行きの予定が何故か雲南へ
サバイディー、南方上座部仏教国の夕陽 169
しおりを挟む 第十九話
2009年12月28日、ラオスの首都・ビエンチャンを午後二時過ぎに出発した中国・昆明行きのバスは、夕闇が迫る頃には既にバンビエンも通り越して、ドンドン山道を上がって行った。
ビエンチャン~バンビエンまで、ローカルバスでは4時間あまりかかるが、何故こんなに早いのかというと、このバスは新型デラックス大型バスだからである。
◆この時のバス
ラオスのバスといえば、僕が最初にラオスを訪れた2001年ごろは、韓国や日本からの使い古したバスをもらって、ローカルバスとして利用していた。
当然エアコンなど洒落たものはあるはずもなく、開け放った窓からは砂埃が舞い込んでくるといった情緒あふれるものだった。(現在もローカルバスはこの種のものが、路線によっては走っています)
それ以前となると、これはもう語り継がれる伝説のトラックバスというものがあったらしく、荷台を長いベンチ風にして、「バス」と無理やり呼んでいた代物が走っていたそうだ。
昆明行きの新型デラックス大型バスの中は座席ではない。
全席寝台車である。
寝台車といっても一人が占める幅はわずか60センチ程度、僕のような小柄な者は不自由はないが、大柄で横幅の広い体躯の者ならこれは大変だ。
当然寝返りなど不可能で、薄い掛け布団と小さな枕が支給されるが、これで眠れるかどうか不安である。
しかも僕のベッドは二階の窓際、ベッドに座ると頭がバスの天井にゴツンと当たる。
◆寝台バス車内
エアコンは効きすぎるほど効きすぎていて寒い位だし、乗客は中国人が大部分を占めているためか、バスの運転席の上に「禁煙」を意味していると思われる漢字四文字が掲げられているにもかかわらず喫煙三昧なので空気が悪く、快適どころか不快である。
いずれにしても「老走寸万象(ラオスビエンチャンという意味です)~中国昆明」と正面とボディに大きく書かれたデラックスバスは、クネクネとしたラオスの山道を登り下り、夜七時ごろに見知らぬ町中の小さな食堂の前で一旦停まった。
◆食事休憩で停車
どうやら食事休憩のようだ。
この経路を走る中国バスの決められた食堂のようで、勝手知った乗客たちは次々と急いで入って行く。
店の奥には大型炊飯器と様々な惣菜が大きなトレーに入っていて、客は女性店員に「これとあれとご飯と汁!」という具合に指差して注文する。
このバスには旅行者は3人しか乗っていなかったことがこの時点で判明、一人は米国からの三十才位の男性、もう一人はタイ人の公務員さんでこちらも三十代前半とあとで聞いた。
彼らと僕との三人は勝手が分からず、しばらく中国人たちが忙しく動き回るのを眺めていた。
彼らがようやく席に落ち着いたのを見計らって、ご飯とおかずを2、3品指差して皿に入れてもらい、静かに晩御飯を食べた。
店主は中国語で運転手や乗務員と話していたから、おそらく中国人だろう。
このような田舎町にまで、中国人が進出しているというわけである。
タイ人の公務員青年は英語が達者で、米国人男性と「こりゃ大変なバスだな」などと話をしていた。
僕は横でウンウンと頷き、こんな粗末な食事に35000Kip(310円程度)も請求されて少々憤慨しながら食堂の外に出た。
灯りもほとんど見えない静かな田舎町に佇み、あと三日で今年も終わることへの寂しさと、日本からはるか遠くに来て年を越すことへの後悔が、次第に心を支配し始めた。
2009年12月28日、ラオスの首都・ビエンチャンを午後二時過ぎに出発した中国・昆明行きのバスは、夕闇が迫る頃には既にバンビエンも通り越して、ドンドン山道を上がって行った。
ビエンチャン~バンビエンまで、ローカルバスでは4時間あまりかかるが、何故こんなに早いのかというと、このバスは新型デラックス大型バスだからである。
◆この時のバス
ラオスのバスといえば、僕が最初にラオスを訪れた2001年ごろは、韓国や日本からの使い古したバスをもらって、ローカルバスとして利用していた。
当然エアコンなど洒落たものはあるはずもなく、開け放った窓からは砂埃が舞い込んでくるといった情緒あふれるものだった。(現在もローカルバスはこの種のものが、路線によっては走っています)
それ以前となると、これはもう語り継がれる伝説のトラックバスというものがあったらしく、荷台を長いベンチ風にして、「バス」と無理やり呼んでいた代物が走っていたそうだ。
昆明行きの新型デラックス大型バスの中は座席ではない。
全席寝台車である。
寝台車といっても一人が占める幅はわずか60センチ程度、僕のような小柄な者は不自由はないが、大柄で横幅の広い体躯の者ならこれは大変だ。
当然寝返りなど不可能で、薄い掛け布団と小さな枕が支給されるが、これで眠れるかどうか不安である。
しかも僕のベッドは二階の窓際、ベッドに座ると頭がバスの天井にゴツンと当たる。
◆寝台バス車内
エアコンは効きすぎるほど効きすぎていて寒い位だし、乗客は中国人が大部分を占めているためか、バスの運転席の上に「禁煙」を意味していると思われる漢字四文字が掲げられているにもかかわらず喫煙三昧なので空気が悪く、快適どころか不快である。
いずれにしても「老走寸万象(ラオスビエンチャンという意味です)~中国昆明」と正面とボディに大きく書かれたデラックスバスは、クネクネとしたラオスの山道を登り下り、夜七時ごろに見知らぬ町中の小さな食堂の前で一旦停まった。
◆食事休憩で停車
どうやら食事休憩のようだ。
この経路を走る中国バスの決められた食堂のようで、勝手知った乗客たちは次々と急いで入って行く。
店の奥には大型炊飯器と様々な惣菜が大きなトレーに入っていて、客は女性店員に「これとあれとご飯と汁!」という具合に指差して注文する。
このバスには旅行者は3人しか乗っていなかったことがこの時点で判明、一人は米国からの三十才位の男性、もう一人はタイ人の公務員さんでこちらも三十代前半とあとで聞いた。
彼らと僕との三人は勝手が分からず、しばらく中国人たちが忙しく動き回るのを眺めていた。
彼らがようやく席に落ち着いたのを見計らって、ご飯とおかずを2、3品指差して皿に入れてもらい、静かに晩御飯を食べた。
店主は中国語で運転手や乗務員と話していたから、おそらく中国人だろう。
このような田舎町にまで、中国人が進出しているというわけである。
タイ人の公務員青年は英語が達者で、米国人男性と「こりゃ大変なバスだな」などと話をしていた。
僕は横でウンウンと頷き、こんな粗末な食事に35000Kip(310円程度)も請求されて少々憤慨しながら食堂の外に出た。
灯りもほとんど見えない静かな田舎町に佇み、あと三日で今年も終わることへの寂しさと、日本からはるか遠くに来て年を越すことへの後悔が、次第に心を支配し始めた。
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