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第五章・ミャンマー行きの予定が何故か雲南へ
サバイディー、南方上座部仏教国の夕陽 163
しおりを挟む第十三話
内田有紀夫妻とその幼児二人、宮崎あおいと彼女の幼児、その他数名と僕を乗せたトゥクトゥクはビエンチャン市街へ突入した。
見慣れた風景ホッとしていると、やがて車のクラクションやオートバイのエンジン音の喧騒が聞こえるようになると、終点のタラート・サオである。
約束どおり5000Kip(この時期45円程度)を支払い、ビエンチャン大学の留学生二人にサヨナラを言って歩き出す。
勝手が分かったビエンチャンの街だから、バックパックの重さも全く感じない。
美味しいフランスパンサンドイッチを作ってくれる店も健在だ。
その隣のフルーツ屋には既に欧米人客が生ジュースを求めて押しかけていた。
そして驚くことに、道路の反対側にはコンビニができていた。
セブンやファミリーマートなどのコンビにではなく、おそらく中国資本かタイ資本のコンビにではないだろうか。
定宿になっているチャンターGHに到着したのが既に16時を過ぎていた。
バンコクから前日「どんな部屋でも良いですからお願いします」とメールを送っておいたから、3階のファン、TVなし、共同シャワーのシングルの部屋をキープしてくれていた。
早速、汗まみれの身体をシャワーで綺麗スッキリ落とし、半年振りにお会いしたS野さんに挨拶、相変わらず飄々とした風貌だが、お元気そうで何より。
聞けば明後日28日から日本に帰国するのだとか。
さて、バスチケットが手に入れば明日にでも中国雲南方面へ向かいたい。
バスターミナルまでブラブラと歩いて行った。
夕方のビエンチャンの街は、ナンプ広場にも人はまばら、なぜか人々が隠れているかのように静かだった。
アメリカ大使館の裏道から大通りへ出て、タラート・サオを横に見て、バスターミナルへ向かう。
途中、何ヶ所かの信号で、車の往来の多い道路を渡るのにいつも戸惑う。
歩行者用の信号機がどうもおかしいのだ。
つまり自分の進みたい方向の車用の信号と、歩行者用の信号がどうも連動していない。
だから日本の歩行者用信号を渡る感覚だとスムーズに渡れない。
信号機が増設されるスピードも緩やかな国だから、性能の良い信号機が作れないのか、或いは操作の設定が間違っているのかもしれない。
せっかくシャワーを浴びたのに、すっかり汗だくになってチケット売り場の窓口にたどり着いた。
窓口のオネエサンに「チャイナの昆明行きのバスチケットはどこで売ってますか?」と訊いてみたら、ここではなく北バスターミナルだと言う。
仕方がないので再びゲストハウスに戻り、少し早めの夕食にすることにした。
チャンターGHは、毎度の旅行記にも書いているが、ゲストハウスとレストランを併設していて、S野さんはレストランの調理師兼店長兼ゲストハウスの支配人でもある。
お好み焼きと肉野菜炒めとビアラオの大瓶を注文、ビアラオは変わらぬ喉越しの爽快なビールであり、料理もどちらも旨い。
(これで47000Kip、430円程度)
夕陽が一日の役割を終えて沈み始めた頃、気を取り直して北バスターミナルへ昆明行きバスチケットを買いに出た。
宿の近くで客待ちをしているトゥクトゥクにいくらかを聞くと、60000Kip(540円程度)だという。
それはあまりに高すぎるというと、料金表の書かれた大きなカードを見せてきた。
確かにその値段がプリントされていた。でも高いなぁ。
しっかりと断って、メコン川方面に少し歩くとレンタサイクルをしている雑貨屋があるので、ママチャリを借りた。料金は一日10000Kip、激安。
体力に自信のない僕なので、本当は楽なトゥクトゥクで行きたかったが、頑張ってキコキコこぎだした。
さて、バスチケットは無事にゲットできるのか?
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