147 / 195
第四章 タイ・ラオス・ベトナム駆け足雨季の旅
サバイディー、南方上座部仏教国の夕陽 147
しおりを挟む三十一話
ウオーキングストリートと呼ばれる(19時~深夜まで歩行者天国のようだ)通りにはシーフードレストランが並んでいた。
N君とパタヤー湾に面した桟敷レストランに入った僕は、まず入り口の生簀で泳いでいる魚介類に驚いた。
情報ではパタヤー湾はあまり綺麗でないとのことだったが、日本近海でも取れる魚介がパタヤーで獲れないはずはない。
生簀があっても当たり前のことである。
小雨がパラついていたが、桟敷レストランは天井がついていて問題はない。
海の方にはナイトクルージングが行われているのか、船のライトが点在していた。
「蟹が食べたい」と僕がリクエストすると、注文を聞きに来た女の子にN君は流暢なタイ語で伝えていた。
すっかりタイ人になったN君、この時点では四年余りのタイでの滞在、職場ではほとんどタイ語らしく、日本語を一言も話さない日もあるのだとか。
大したものである。
ビアシンに氷りを放り込んで再会を乾杯した。
僕はタイでN君と飲むのが最高のリラックスタイムである。
2001年のゴールデンウイークにラオス国境で知り合ったN君。
大阪在住で大学が同じだったこともあって(当時僕は大阪でした)、仕事が終わればよく飲みに行っていた。
一流企業のプラントの設計に関わっていて、係長だった彼は、「日本を離れてタイで住みたいと思ってますねん。仕事は好きですが、上司がアホばかりであきまへんわ」と言っていたなぁ。
有限不実行の僕とは違って、N君は不言実行タイプ、2003年の3月に仕事をきっぱり辞めて、インドやネパールを旅したあとタイに入り、そのままタイ語学校に入学したのだった。
目下は日本の商社系列の物流会社でマネージャーの立場、タイの女子大生ともお付き合いがあり、羨ましい限りの暮らしに見えるが、本人は全くそうではないらしい。
「タイ人の悪口を言えと言ったら三日では足りませんな。あいつら訳分かりませんわ。現場の奴らも言うたことしかやりよりませんねん。あとはクイッティアオとソムタムとビアチャンがあったらそれで満足な奴らですわ」と辛辣なことを言っていた。
さて、すっかりシーフードに満足をした僕は、N君にナイトライフを案内してもらうことになった。
シーフードレストランは決して安くはありませんが、一人700バーツ程度で新鮮な魚介類を食べてビールもしこたま飲んだし、リゾート地の料金としては良しでしょう。
「パタヤーにもゴーゴーバーがありますよ。でもここはバービアが基本で、あとはいろんな飲み屋がありますわ」
パタヤーに欧米人が好むタイプのバーが乱立しており、至るところにビアバーがあり、昼間から女の子相手に飲むファランをよく見かけた。
他にはコヨーテバーてなものもあるらしく、どんなものか分からないが、N君が時々覗くと言うのでこの夜はチョイと行ってみた。
でも店は普通のアイリッシュパブもどきで、単に店の女の子が客の周りをウロウロしているだけで、何が「コヨーテ」なのかサッパリ分からない。
N君に聞いても「何か分かりませんが、コヨーテバーということになっているんですわ。奢ってやれば横に座りますよ」と言う。
つまり普通のキャバクラもどきパブか?
僕とN君はビールを少し飲んでとっとと出て、普通のビアバーに行った。
ビアバーとはコの字やロの字型になったカウンター内に女の子が数名いるスペースがいくつも集まっているもので、大規模なビアバーになるとその数は30位にも及ぶ。
何がどう楽しくてファラン達は行くのか、僕達はちょっとエキゾチックな顔つきをした女の子がいたスペースに座った。
0
お気に入りに追加
11
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。


会社の上司の妻との禁断の関係に溺れた男の物語
六角
恋愛
日本の大都市で働くサラリーマンが、偶然出会った上司の妻に一目惚れしてしまう。彼女に強く引き寄せられるように、彼女との禁断の関係に溺れていく。しかし、会社に知られてしまい、別れを余儀なくされる。彼女との別れに苦しみ、彼女を忘れることができずにいる。彼女との関係は、運命的なものであり、彼女との愛は一生忘れることができない。

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。

ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる