サバイディー、南方上座部仏教国の夕陽

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第四章 タイ・ラオス・ベトナム駆け足雨季の旅

サバイディー、南方上座部仏教国の夕陽 122

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       第六話


 ノンカイ行きの夜行列車に乗るのは今回で何度目だろう。

 最初は、2001年のゴールデンウイーク期間中のラオス旅行の際だった。

 そして翌2002年のラオス旅行の時は、早朝に当時のドムアン空港に到着すると、空港前の駅に最初に来た列車に飛び乗ろうという無計画な旅行だったのだが、たまたまノンカイ行きの列車がやって来て、夕刻には着いてしまった。

 これは二等の普通の軟座席でのものだった。

 よくよく考えてみると、二度目の夜行寝台は2006年の大晦日である。
 つまり前年の「突撃!アンコールワット・年末年始はやっぱり日本で過ごすべきかも編」での旅行の際であった。

◆メインWEBでのその旅行記、小さくて読みにくいです🤣

http://perorin.sakura.ne.jp/kanbobase.htm


 従って、今回がまだ三度目のノンカイ行き夜行寝台列車となるわけだが、もう七~八回は乗った気がするのはなぜだろう。

 ともかく、ほぼ定刻どおりに動き出した列車は、バンコク市内をのし歩くようにきわめてゆっくり走り出した。

◆この列車です



 窓からは時々、暗闇の向こうに、線路沿いの民家の家の中まで見える。
 スラムと言っても過言でない塗炭屋根の家々でテレビを囲んだひとつの家族の動きまで窺えることがある。

 巨大都市バンコクの中央駅を出てすぐの線路沿いに、こんな粗末な住宅が続いている都市が世界に他にあるのかとさえ思ってしまう。

 そんな粗末な家々と線路との間には、低い柵ひとつないのだ。

 旅行中のバスや列車での移動の際、窓から時折民家や人の動きが見えると、猛烈な寂しさに襲われることがある。

 このころの僕は日本をごく短期間離れての小旅行なのだが、日本でも常に家族と離れた暮らしを営んでいることもあって、妻や子供たちと暮らしていた昔を、こんな時に懐かしく思い出されるのである。

 そしていったい僕は何をしているのかと。

 おそらく僕にとっての旅行というものは、楽しい旅行、エンジョイ・ナイストリップ、などという明るいものではなく、単なる現実逃避だからに違いない。

 確かに以前発行していたメールマガジンでも、またこの旅の最初のほうでも、「バンコクにとりあえず着くと、本当にリラックスする。それは日本のことなど考えてもどうにもならないところへ来てしまったからだ」と格好つけて書いている。

 しかしこの気持ちは「仕事からの解放、それに付随する煩わしい人間関係」についてのみのリラックスなのである。

 飛行機に乗ってビュンと飛んでしまえば、仕事のことなど頭から消えてしまう。

 でもなぜか旅先では、普段あまり考えない家族や身内や久しくあっていない友人知人や郷里のこと、さらにはこれまでの人生についてなど、考えても仕方のないことまで頭に次々と浮かんで来るのだ。

 いったいどうなっているのだろう?

 さて、列車は線路沿いの人々の喧騒から解き放たれ、バンコク市内を抜けるとどんどん速度を増し、田園風景の中をグングン走る。

 早くも乗務員さんがベッドを作りに回ってきた。

 僕は残念ながらアッパーベッドだ。

 狭いスペースのベッドで横になり、心に映り行くよしなしごとをぼんやり考えているうちに・・・寝てしまったのだった。

◆アッパーベット、狭い(笑)






 翌日、ノンカイ駅には朝8時半ごろに到着した。
 どんよりとした曇り空。

 駅を出るとたくさんのトゥクトゥクが乗客を待っていたが、肝心の旅行者は少なく肩透かしの様子だ。

 それでも欧米人3人と一緒に国境まで40バーツで向かった。

 出国と入国を済ませるのに、バスでの移動などを含めて小一時間かかって、ようやくラオスに入国して市内へのバスやタクシー、トゥクトゥク乗り場へ。

 ところがトゥクトゥクは市内まで250バーツだと言うのだ。
 周りを見渡すとシェアするような旅行者もいない。いくら待ってもだれも来ないのだった。

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