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第四章 タイ・ラオス・ベトナム駆け足雨季の旅
サバイディー、南方上座部仏教国の夕陽 121
しおりを挟む第五話
ゴーゴーバー「バカラ」の尊敬すべき踊り子・ミュウを閉店間際に連れ出した僕は、その美乳に酔いしれることもなく午前三時には宿に戻った。
何しろ泥酔一歩手前だったので、男の機能を発揮することもなく、少しお話して帰ったという情けない按配だ。
宿に戻った僕は、なぜか腹が減っていたのでクイティアオ(ヌードルスープ)を注文した。
このクイッティアオは猛烈に美味しかった。
この夜のクイッティアオはやや薄味の鶏がらスープに米粉麺がしっとりと溶け込んだ感じで、添えられたビーフやもやしや香草が、それぞれの味と香りをしっかりと出していて最高だった。
タイの人たちは砂糖やナンプラー、唐辛子などを好みで入れて食べるが、まったく何も加えなくても素晴らしく美味しい。
オンヌットゲストハウスの料理は、これまで食べたものすべて満足な味だったが、このクイッティアオは格別な気がした。
満腹になって幸せな気分になって、身体に悪いがすぐに寝てしまった。
ドミには僕以外に誰も宿泊者がいなかった。
翌日は自然と目が覚めるのに任せていたら、午前九時半だった。
シャワーを浴びて階下へ降り、おかゆの朝食を注文した(30バーツ)。
大きなドンブリに入った普通のおかゆだが、塩茹で卵が添えられており、それを少しずつ切って入れて食べる、旨い。
スターバックスの豆で焙煎したコーヒーがついてこの料金は破格である。
昼前にチェックアウトをした際、この日から二週間後に二泊の予約を入れて宿を出た。
さて、どこへ向かうのか?
スクンビット通りでバスに乗り、ホアランポーン駅へ向かった。
だがバスは途中までしか行かず、仕方なくトゥクトゥクで駅まで、30バーツも余計にかかってしまった。
バンコク市内のバス路線はしっかり調べて乗らないとどこへ行くか分からない。
駅の荷物預かりにバックパックを預けて、夜行列車までには随分と時間があるのでブラブラすることにした。
夜行列車って?
つまりやっぱり今度も、差し当たりラオス国境のノンカイまで行くことにしたのだった。
MBK(マーブンクロン)の一階のスターバックスでコーヒーを飲み(70バーツのスタバは高い)、ネットでメールチェックをして、夕刻のタニヤ辺りをブラブラし、再びホアランポーン駅に戻った。
駅前の古くからの商店街にある一軒の飲食店で、豚足とバミーナーム(ラーメン)、それにビアリオ(REO)105バーツだった。これは安い。
ちょっとフラッとしてホアランポーン駅に戻ると、構内では人々が起立を開始しているところだった。
18時の国歌が流れる時刻だったのだ。
◆ホアランポーン駅
人々は改札口の上部に掲げられた国王様夫妻の肖像に向かって起立する。
その姿に僕は感動さえ覚えるのであった。
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