サバイディー、南方上座部仏教国の夕陽

Pero

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第三章 バンコク近郊・意外展開旅行記

サバイディー、南方上座部仏教国の夕陽 108

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     カオサンへ

 今回の旅は実はある事情で出発前から体調が悪かった。

 この事情は残念ながら述べることはできないが、ちょっとした僕の不注意からもらったものだった。

 もらったと言っても何か品物をいただいたわけではない。
 勘の良い男性なら、もう気がついていらっしゃるからもいつと思うが、それはそれは大変だった。

 ところが、両親から生来の強靭な体をもらった僕は、これを医者にかかることなく治してしまったのだ。

 バンコクに到着してヨレヨレだったが、Hさんと偶然会ったことで歩き方もシャンとした。

 そして翌日にはバンコク郊外までわけの分からないお寺を見に行って、挙句はヒッチハイクまで経験してしまったのだった。

 Hさんと過ごした間の極度の緊張は、病原菌を一時的に追っ払ったようだった。

 ところがHさんが帰国するや否や、またもや歩くこともママならない状態に陥り、もう一日バンコクのホテルで倒れこんでいたのは、この旅行記の最初の辺りをお読みいただければお分かりと思う。

 考えれば、Hさんと酩酊するほど酒を飲んだこともいけなかった。

 この病気というかこの厄介なものはアルコールがダメなのだ。
 アルコールを飲むと治りかけているものもぶり返す。

 それでも翌日、まあ何とかアユタヤにたどり着いた時には俄然体調が良くなり、炎天下の中を歩き回ったものだ。

 ところがカンチャナブリは僕をまた落ち込ませた。
 肉体的には問題がなくなったが、精神的にどうも一人でずっといたことがいけなかったようだ。(情けないなぁ)

 ともかくカンチャナブリをあとにしてバンコクにバスで向かった。
 カンチャナブリは何年か後にもう一度ゆっくり訪ねてみようと思った。

 バンコクまではエアコンバスで約二時間あまりだ。
 スイスイと平坦道路をバスは飛ばし、午後二時過ぎには南バスターミナルに到着した。

 サーヤム辺りの宿はやめて、カオサンであとの三日間を過ごそうと思ってタクシーで行くことにした。

 重いバックパックを背にタクシー乗り場に行こうとすると男性が近づいてきて、「どこまで行くのか?チープタクシーだ」などと言う。

 いくらだと聞くと二百バーツだと言う。

 無視して青いメータータクシーの方へ行き、キチンとメーターを倒すのを確認して出発だ。

 くれぐれもメータータクシー以外のタクシーに乗ってはいけないと念のため申し添えたい。

 メータータクシーは二十分も走るとバックパッカーの交差点、カオサンロードに到着した。

 ここでは、このクソ暑いのにインドの北部からチベット辺りをチャリンコで走っている旅仲間と会うことになっていた。

 彼は「トラベラーズロッジ」というドミトリーに泊まると言っていたが、僕はさしあたりエアコン付きのNanaホテルにチェックインをした。
 (一泊四百バーツ、今はもうこのホテルはありません)

◆カオサンロード






 シャワーを浴びてカオサン散策だ。

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